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「遊び」で変わる地域とくらし


企画書をつくることは易しだが、日本初ということであれば、実現の難易度は高い。最初はなかなか地域の理解を得ることが難しかったという。

前例があれば、企画を実現するにあたりいろいろと工夫したりできるが、前例がないために最適解を探すことが難しい。道路の使用許可を管理している警察署も、最初は許可の出し方がわからず、一時は暗礁に乗り上げかけた。

レースを予定していた道路の周辺には、学校や病院など公共施設もあり、事故があったらどうするのかという声も多くあがった。不安を感じる人たちがいるなか、「丁寧に説明をしながら、不安材料を解消していくしかなかった」と上口氏は語る。

そのために、海外の成功事例である「マカオグランプリ」を現地に出かけて視察し、その運営方法や対策を共有したという。鈴鹿サーキットなど、国内のレース場にも通って、知見を蓄え、江津市のレースで走ることになっていたカートにも何度となく乗ったという。

音や安全面が気になるという声があがれば、実際に触れて感じてもらうことで理解してもらえないかと、地元の駐車場でカートの音を出すようなプレイベントを実施した。そこでは、カートを見たこともない人たちが実際の車に触る機会にも繋がり、そこでレースに対する理解を示してくれた人たちも多くいたという。

知らないことやわからないことが、不安になり反対に繋がることはよくあることだ。そんな声に対して、丁寧に地域の関係者に説明し、イメージを抱いてもらい、少しずつ賛同者を集めた。

最終的には、主催者たちのリーダーシップと情熱も重要だったそうで、彼らの情熱で、徐々に仲間を増やし、地域の人たちの信頼を獲得していく過程はまるでドラマのようだったという。

200名を超えるボランティアスタッフ


その努力もあって、めでたく9月20日に、カートでの市街地公道レース「A1市街地グランプリ」を開催。今年度は、運営側が11名のプロ/セミプロレーシングプレイヤーたちを厳選し、約783mのコースを20周、周回するレース形態となった。

コロナ禍もあり、観客も地元の住民の人たちに限定した。その地元の人たちの応援が温かく、駅伝のように沿道に声援が鳴り響いた。参加したレーサーたちにとっても、サーキットでのレースとは異なる、観客の人たちが間近で声援する雰囲気は新鮮だったことだろう。

文=内田有映 協力・写真提供=A1市街地レースクラブ(上口剛秀、山田麻美)

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