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「遊び」で変わる地域とくらし

島根県江津市で開催された日本初の公道レース「A1市街地グランプリGOTSU2020」

島根県江津市(ごうつし)という自治体を、ご存知だろうか。島根県西部に位置し、近くには世界遺産の石見銀山もある。人口が約2万3000人と、山陰地方ではもっとも少ない「市」でもある。

そんな江津市で、日本初の市街地レース「A1市街地グランプリ」が、今年9月に開催された。市街地レースとは、町中の公道をサーキットとして開催されるレースで、海外では実施されているものの、国内では公道の活用に関して規制が厳しいため、これまでなかなか実現に至らなかった。

普段は人や車が往来する公道で、リスクの高いイベントを実施するハードルの高さから、この江津市のA1市街地グランプリも、準備から実施まで7年という歳月がかかった。どのように地域を巻き込み、開催実現にまで漕ぎ着けたのか、主催者で運営事務局の上口剛秀氏と山田麻美さんの話を基に紹介したい。

企画は他愛もない会話から生まれた


いまから遡ること7年前の2013年9月。江津市内で建設会社を経営する森下幸生氏(当時常務)が、「東京から一番遠いまち」の異名で知られ、いわゆる「消滅可能性都市」とも言われた江津市をなんとか盛り上げられないかと、普段から経営の相談にのってもらっていた上口氏に話したことが事の発端だった。

東京でコンサルティング会社を営んでいた上口氏は、「日本初の市街地レースはどうだろうか。みんながワクワクして、元気になるような新しいチャレンジにもなるし、公道でレースが開催されれば街全体が盛り上がるのでは」という企画書をまとめて、森下氏に持ってきたという。

市街地で開催する公道レースといえば、モナコでのF1やマカオでのF3のレースが有名で、海外では開催されている地域も多い。「どんな困難があるか想像もできないが、日本初のイベントを開催できたら、江津市のPRになることだろう。そう思ったら高揚感が高まるばかりだ。ぜひ挑戦してみよう」と地元でも話がまとまったという。

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最初の企画書の1枚。実施までに7年もかかるとは、当時は誰も想像もしていなかったのでは

文=内田有映 協力・写真提供=A1市街地レースクラブ(上口剛秀、山田麻美)

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