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2020.11.10 16:30

ウーバーの「非正社員」継続は運転手をハッピーにするのか?

Mario Tama / by Getty Images

Mario Tama / by Getty Images

カリフォルニア州で11月3日、住民投票が行われ、ウーバーなどのライドシェア企業に州法「AB5」を適用しないことが決まった。AB5は、ライドシェア企業が運転手などのギグワーカーを正社員として扱うことや、医療保険や最低賃金の提供、車両費用の補償や給与税の支払いを義務付けている。
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ウーバーやリフト、ポストメイツ、ドアダッシュ、インスタカートは、運転手を個人事業主と認める住民立法案「プロポジション22」の成立を目指し、数億ドルを投じてキャンペーンを展開した。これらの企業は、住民立法案が成立しなければカリフォルニア州から退去しなければならず、運転手らも正社員になることを望んでいないと主張してきた。

これまで、「運転手らは本当に正社員になりたくないのか」、「ライドシェア企業が本当にカリフォルニア州から撤退するのか」、「今後は料金が上昇するのか」、「企業が自ら法案を作成することを是認するのか」、といった疑問が多く聞かれたが、結果的にはライドシェア企業のキャンペーンが効果を発揮し、プロポジション22は成立した。

これまでウーバーは、乗客と運転手をつなげ、決済処理を行い、手数料を徴収するアプリに過ぎないと主張してきた。しかし、乗客を輸送するのは運転手であるものの、ウーバーは料金設定や乗客のクレジットカードへの請求といったルールを決めている。このことから、乗客の多くはウーバーと取引きしていると感じている。
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AB5は、運転手が配車アプリの管理下に置かれていないことや、配車アプリの主要事業とは異なる業務を行っているといった条件を満たした場合にのみ、運転手を独立契約者として扱うことを認めている。最近の傾向では、配車アプリをライドサービスと位置付け、運転手を正社員として扱うべきという意見が強まっていた。

AB5が継続されていた場合


仮にプロポジション22が否決されたとしても、ウーバーは抜け道を探していただろう。抜け道の1つとしては、週に30時間以上勤務する運転手だけを正社員として扱う方法が考えられる。対象の運転手には福利厚生や車両費用の補償を提供しつつ、最低賃金しか支払わなければ、コストはほとんど増えない。

また、運転手に週末夜のラッシュアワーに勤務させ、需要が急増した場合に顧客が支払う割増運賃(サージレート)の取り分を支払わなかったり、乗車を拒否させないようにすることができる。このように、AB5のもとでもコストを増やさない方法は考えられる。しかし、ウーバーがこれまでそれを実行してこなかったのは、運転手の採用を重視し、運転手の取り分を増やすことを優先してきたからだ。

AB5が維持された場合、運転手は柔軟な働き方ができなくなる。仮に正社員になる前と後で手取り金額が全く同じだったとしても、額面金額から様々な費用が差し引かれ、稼ぎが減ったように感じて不幸せになるだろう。だからこそ、ウーバーはこれまで運転手を正社員にしてこなかった。

ウーバーは、AB5のもとでも、運転手を独立契約者として維持し続けることが可能だった。運転手がオーナー兼従業員である会社を共同設立し、この会社が乗客に料金を請求して手数料をウーバーに支払うのだ。しかし、政府は、突然莫大な数の新会社が設立されることを快く思わないかもしれない。また、カリフォルニア州では最低税額が800ドルとなっており、それを上回る収益が見込めなければ会社を設立する意味はない。
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編集=上田裕資

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