いま人気の「ESG投資」とはなにか? その課題とパフォーマンス

Sawitree Pamee/EyeEm/Getty Images


しかし、これらの投資はESG投資ではない。日本サステナブル投資フォーラム(JSIF)によれば、ネガティブスクリーニングとは、そもそも投資するかどうかの分析をするまえに該当銘柄を排除してしまうこと。インパクト投資とは、リターンよりもインパクトを重視する投資手法であり、分析と意思決定プロセスにESG課題を組み込んでいない。

これらの理由から、ESG投資ではなく「サステナブル投資」に含まれるというのだ。

筆者自身も最近までは、ESG投資とサステナブル投資の違いについてはあいまいな認識だったため、ESG投資に興味をもった学生には、この記事をきっかけに正しい理解をしてもらえれば幸いだ。

ESG投資には課題も多い


ここで気になるのは、ESG投資のパフォーマンスは、従来のものに比べて良いのかということである。

機関投資家は他人のお金を預かり、そのお金を運用して増やすのが仕事である。ESGの概念が重要だからと言って、ESG重視の投資方針にした結果、従来の投資手法よりパフォーマンスが悪化するのであれば、お金を預けた人からすれば、キレイごとに付き合わさないでくれという話になる。

そうなれば、ESG投資をする機関投資家からはお金が流出していくため、結局はESG投資も一時的なブームで終わってしまい、投資の世界では根付かなかったということになってしまう。

試しに、筆者の執筆時点(11月5日)から1年間を遡って、実際のESG投資のパフォーマンスを見てみよう。

私たちもESG投資をしているETF(上場投資信託)を買うことができるのだが、そのうちの3つは、(1653)MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数、(1652)MSCI日本株女性活躍指数、(1654)FTSE Blossom Japan Indexだ。いずれも同じ運用会社のESG投資に関する商品である。

これに対して、同じ運用会社が運用している(1305)TOPIXと比較してみよう。

TOPIXは東京証券取引所第一部上場株式銘柄を対象として算出されている株価指数なので、これよりもパフォーマンスが良ければ、ESG投資には一定のポジティブな要素があると言えよう。

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(出所)楽天証券『MarketSpeed2』より著者作成。

1年前のそれぞれの株価を100として指数化すると、4つとも執筆時点では1年前よりも株価が下がっているが、ESG投資であるセレクト・リーダーズ指数とMSCI日本株女性活躍指数は、TOPIXよりもパフォーマンスがよい。
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文=森永康平

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