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フォーブス ジャパン Web編集部 編集長

Photo by Peter Summers/Getty Images

想像を超える大接戦となった米大統領選。9日時点で、ほぼ民主党バイデン候補の当確が確実となり、マーケットが懸念していた大統領選挙の長期化による不透明感は払拭されたように見える。

バイデン氏の勝利宣言を受け、米経済、また市場はどう動くのか。みずほ総合研究所 理事・フェロー 小野亮氏に聞いた。


──今回の結果を受けて、第一印象は?

大統領選挙について、郵送投票の開票前後で勝者が入れ替わるのは事前に予想されていたものの、これほどの接戦になるとは予想外。議会選挙については、「トリプルブルー」も取りざたされただけに民主党の不甲斐なさが目立った。

──市場関係者の視点から、今回の大統領選は何 vs 何の戦いだったとみるか

経済政策では「成長」(減税・規制緩和による小さな政府)か、(大きな政府による)「分配」・「構造改革」か、という選択だったが、より幅広い視点に立てば、一般の米国民にとっては「Fake」vs「Faith」の戦いと言えたのではないか。それぞれの陣営が自らの信条を譲らず、相手の主張をフェイクと見なして戦った。

──このあとの米国経済の行方、そして、世界の動きは

コロナ対策と共に、「分配」・「構造改革」に軸足を置いたバイデンプランが実現すれば、米国経済は高成長も。しかし、財政政策は議会共和党の協力なくして成立しない。コロナ対策を含め、実現する経済対策はトリプルブルーのシナリオと比べて小粒とならざるを得ない。

対外政策では、「単独主義」から「多国間協調」に転換、パリ協定への復帰などが見込まれる。しかし、トランプ政権が掲げた「米国第一」「米国産業の再生」はバイデン政権も継承、自由貿易礼賛という事にはならない。

中国に対する脅威論も、米国内の超党派の潮流として強まりこそすれ、後退することはない。対中制裁関税を取り下げるのは、国内労働者の保護という点で、容易ではないだろう。また、バイデン政権では、中国の核心に触れる人権や民主主義が焦点となりやすく、トランプ政権下よりも米中摩擦が激化する恐れすらある

──振り返って、トランプ政権の過去4年間をどう評価するか

コロナ禍前まであれば、主要なマクロ経済指標から判断して、トランプ政権下の米国経済はレーガン以降でも4番目のパフォーマンス。ただ、中国との関税合戦や、国内の社会不安を招く政策や発言がなければ、米国経済はより高い成長を遂げ、その果実が幅広いセクターに行き渡ったのではないかと思われる。

──コロナ禍など、不透明感が更に増す中において、新政権に望まれることは

まずは経済活動への影響を最小限にとどめつつ、感染拡大を抑制すること。

──日本への影響は

最大の懸案事項は対中政策。上述したように、米中関係は決して楽観できず、米国も中国も重要な日本は難しい選択を迫られる可能性がある。

文=谷本有香

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