CAの先輩は「ショルダーバッグと制服を入れるクローズバッグだけ」だった
旅慣れたお客様は、機内持ち込み手荷物に限らず、旅全体の荷物が少ない傾向にあります。CAでも経験を重ねるごとに荷物が厳選されてくるようで、国際線でもスーツケースを持たず、ショルダーバッグと制服を入れるクローズバッグだけでフライトに臨んでいた先輩もよく見かけました。
私自身、新人の頃はあれも必要かも、これも必要かもと、いろいろなものを持って行っていたのですが、結局は使わないで終わるものも多いことに気づきました。 絶対に必要なものは、「替えが利かないもの・現地で調達が難しいもの」。例えば、コンタクトレンズ、メガネ、常備薬などです。
洋服などはいざとなれば現地で買えばよいので、泊数より少ない最低限の数しか持ち歩かないようになりました。旅先では気分も変わり、持っていった服を着たくなくなってしまうこともありましたし、ホテルのランドリーサービスを利用すれば、自宅から持っていった状態のものよりもシワの少ない状態で着用することができるということにも気付きました。
荷物が少なくなると、自然と姿勢も良くなり、フットワークも軽くなります。
必要なものを厳選することで、フライトの準備も現地での生活もとても快適になりました。
大切なのは、自分にとって「本当に必要な物」を把握すること
もちろん、荷物を少なくすればするほど良いということではなく、大切なのは自分にとって必要な物を厳選することです。
機内備品として用意されていることを知りながらも、ご自身の愛用のヘッドフォンやスリッパ、アイマスクなどをお持ちになったり、機内で読書をするためにハードカバーの本を何冊も持ち込まれるお客様も多くいらっしゃいます。
Getty Images
共通しているのは、自分の基準を持ち、それが自分にとって必要な物と考えて持ち込んでいるということです。
荷物が多い=体力と思考を消耗
重い荷物を持ち歩くのはそれだけ身体にも負担がかかりますし、物が多いと何をどこに入れたか、荷物を全部持っているかなど、考えなければならないことが増え、頭も疲れてしまいます。
「必要かもしれないから」とついあれこれと詰めてしまいがちな旅の荷物ですが、それらの物を管理するエネルギー、体力のことも考慮してみると判断が変わってくるかもしれません。
会社経営者である知人の男性は、「何か1つでも新しいものを買うときは、先に何かを1つ捨ててからにする」と話していました。持ち物が多いと、頭がごちゃごちゃし、それを管理するのが難しくなってしまうからだそうです。物を厳選することで、自然と頭も整理されるといいます。
Getty Images
ただでさえ忙しく動き回り、考えなければならないことも多い現代人。物を厳選し常に身軽な状態でいることは、自分自身を思いやること、そして周囲を思いやる余裕を生むことにつながるのではないでしょうか。
清水裕美子◎日本航空(JAL)の客室乗務員として国際線ビジネスクラス、ファーストクラスなどを含め約5年乗務する。退職後はCA流美容コンサルタントとしてセミナー、メディアなどで活動するほか、日本初のCAが発信する総合情報サイト「CA Media」を立ち上げる。All Aboutビューティー担当ガイド。最新の著書は、『ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた「気くばり」』(青春出版社、2020年7月刊)。