ビジネス

2020.11.12 08:00

「伝えるのが下手でも迷惑はかけない」ジャパネット流・本音で伝える仕組み

ジャパネットホールディングス 髙田旭人社長(写真:日本経営合理化協会)


谷本:ただでさえ厳しいコロナの状況、社員の方々にもすごい対応をされたそうですね。
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髙田:思いのほかコロナが厳しい状況になってきて、3月に決めたのはとにかく社員の安全を守ることでした。当社にはグループで約3000人の従業員がいて、そのうちコールセンターに1500人います。そこですべての社員について、持病や妊娠など身体的な心配ごとはないか、同居人がいる場合、そのような心配事がないか、そして公共交通機関を使っているかの3点をヒアリングしました。

社員の中には小さな子どもやお年寄りと同居していたり、妊娠中のメンバーがたくさんいたんです。そういう社員はすべて在宅に切り替えました。一方で、持病もなく、同居人もおらず、車で通勤している人は出勤してもいいと。そういう対応をしました。

もちろん、お客さまに対しても、熱中症対策は命に関わる問題ですから、夏の暑い時期に向けてエアコンを販売しないわけにいきません。すると、設置会社の方々がお客さまのもとに訪問する際には、靴下を履き替えよう、商品を消毒しよう、説明する時の対応は一人だけにしようといった対応を全社に浸透させて、お客さまに安心していただこうと考えました。
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谷本:このようなリスク対応は、なかなかすぐにできるものではありませんよね。どうしてすぐ決断できたんですか?

髙田:やっぱりコロナという外的要因はどうすることもできないじゃないですか。誰も答えを知らないことですし、できることから今すぐ始めるしかありませんでした。

でもこういう考え方はそれこそ両親の背中を見ていたからだと思いますね。うちの両親は絶対に人のせいにしない人たちなんですよ。政治が悪いとか、景気が悪いみたいな愚痴を一切言わなかった。

そういうこともあって、すぐに「我々は今何をすべきか」という発想に切り替え、社員を守るべき、社会に貢献すべき、その両立の意思決定をすることができたのだと思います。


髙田旭人◎ジャパネットホールディングス代表取締役社長兼CEO。1979年長崎県生まれ。東京大学を卒業後、野村證券を経て、2004年にジャパネットたかたの社長室長として入社。バイヤー部門、コールセンター部門、物流センターの責任者を経て、2010年ジャパネットコミュニケーションズの代表取締役社長に就任。2012年ジャパネットたかた取締役副社長に就き、2015年1月より現職。グループ全体の経営戦略や事業戦略を構築している。中小企業診断士。2020年4月に初の著書『ジャパネットの経営 東大卒2代目の僕がカリスマ社長の後を継ぎ大事にしてきたこと』(日経BP) を上梓。

文=石川 香苗子

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