ビジネス

2020.11.12

「伝えるのが下手でも迷惑はかけない」ジャパネット流・本音で伝える仕組み

ジャパネットホールディングス 髙田旭人社長(写真:日本経営合理化協会)



(写真:日本経営合理化協会)

ジャパネット社内だけにある「値段のないカタログ」


谷本:ジャパネットのMCの方々のお話を聞いていると、「この商品で人生が豊かになるんです」とか「この商品によって空いた時間で子どもと一緒にいられる」っておっしゃいますよね。まさに製造者の思いみたいなことを、ぶれずに言い続けていらっしゃるなと思って。MCの方々をどのように育成していらっしゃるんですか。

髙田:フォーマットに則った研修はほとんどありません。ただ、人は自分の知っていることの7割くらいしか伝えられないと思っていて。140%インプットして、やっと100%伝わるくらいなんじゃないでしょうか。

だから、大切にしているのはインプットです。インプットのためには、まず自分たちがジャパネットの商品に触れる機会を増やした方がいい。そこで自社の商品を購入しやすくするような制度も設けています。

それから、「値段のないカタログ」もつくりました。社員の家族にお祝いごとがあったとき、別の社員がそのカタログをプレゼントするんです。社員の家族はそのカタログからプレゼントを選びます。

そうやって、社員が商品を使いたくなる仕組みをつくって、たくさんの情報をインプットした後は、アウトプットするための様々なトレーニングをします。その中の一つに「父のセリフを完コピする」というトレーニングもあります。表情や間合い、セリフ、声のトーン、それから父はときどきギャグを言っていることもあるんですが(笑)、それも含めて全部コピーする。お客さまに伝わる話し方を染み込ませるために、MC希望者が必ず通る道です。

外的要因のせいにしない。社員と社会のために成すべきことを考える


谷本:先ほどクルーズ船のお話もありましたが、コロナ禍でジャパネットも大変な状況になられたのではないでしょうか。どのような影響がありましたか。

髙田:そうですね、先ほどのクルーズ船については、年間のご予約はもう済んでいて、あとは出航するだけという状態だったのですが、中止してすべてキャンセル。キャンセル料はいただきませんでした。

それからグループで運営しているVファーレン長崎というJ2リーグのチームも、試合がないので収入はありません。総じてかなり厳しい状況でしたが、通信販売の軸を強みに、ポジティブな数字になってきたのは良かったことだと思っています。
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文=石川 香苗子

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