(写真:日本経営合理化協会)
夜10時以降の残業禁止で、社員から「えー!」の悲鳴
髙田:今思えば衝撃的なんですが、社長になる前の頃に「望年会」(ジャパネットでは忘年会をこう表す)で「僕が社長になったら、夜10時以降の残業は一切禁止にします!」って、宣言したんですよ。人事に相談もせず。
そうしたら「えー!」って一斉に悲鳴が上がって。夜10時ですよ? それぐらい、日付が変わるまで働くのが当たり前だったんです。
谷本:みなさんかなりハードに働いていらっしゃったんですね。するとなおさら、残業禁止にすると、社員の方は短時間で同じ業務量をこなさなければならないプレッシャーを感じるのではないでしょうか。どのように働き方改革を行っていったんですか。
髙田:大事にしていたのは「段階的に」生産性を上げることと、なくす「仕組み」をつくることでした。
谷本:どういうことですか?
髙田:いきなり定時は6時です!と宣言しても、すぐにそれを実行するのは難しいですよね。そこでまずは10時以降の残業を禁止して、そこから徐々に9時、8時半と、残業していい時間を短くしていきました。
今では8時半以降の残業禁止、それから月・水・金はノー残業デーというルールを定めています。
大事にしていたのは、社員のみんなにどうしたら短時間で働いた方がいいと思ってもらえるかということでした。昨今のニュースを見ていて、僕は働き方改革が目的化してしまっている気がしていて。本来、働き方改革はあくまでも手段のはずなのに。
だから、現場を細やかに見て、やり方次第で生産性は上げられるし、生産性が上がれば給与も上がる、残業を減らした人の手当を厚くするということをやりました。
業務を減らさず、丸ごと「なくす」
谷本:どうやって業務を減らしていったんですか?
髙田:仕事もアイデア一つで変わると思っていて。例えば業務改善の手法の一つにECRSというものがあります。ECRSは、Eliminateはなくすこと、Combineはまとめること、Rearrangeは入れ替えたり代替したりすること、そしてSimplifyは簡素化することなんですね。
僕はこの順番が大切だと思うんです。ところが多くの人は、業務をSimplify、簡素化することから考えてしまう。最初にEliminate、つまり業務そのものをなくしてしまえば、簡素化する必要すらないじゃないですか。