コロナ禍で孤立化する高齢者 「エイジズム」解消のためすべきこと

感染拡大により「エイジズム」が助長されている(Photo by Unsplash)


エイジズムによる「誤解」


エイジズムは、すべての高齢者は同じというレッテルを貼る傾向があります。実際には、高齢者は多様で、その人となりは異なります。高齢者は、その年齢相当以上の貢献をしているのです。

高齢者の経済的貢献を軽視したり、高齢者を経済的負担と見なしたりすることもエイジズムのひとつです。実際、多くの高齢者は社会に欠かせない存在で、経済に寄与しています。有給の仕事もそうですが、何よりも、介護やボランティア活動など、目立たない、無給の仕事に携わり社会に貢献しています。

高齢者の有給・無給による貢献は、高齢者の介護費用と同様かそれを上回っています。たとえば、米国の全消費額の半分以上は高齢者による支出です。また、米国の50歳以上の人々がボランティア活動、介護、育児に従事する形で、米国経済に7450億ドル以上貢献しています。

数値化するのは非常に困難ですが、まさに重要なこととして、孫の世話をする高齢者は多くの場合、子どもたちの知識、スキル、社会規範などを育てることに貢献し、両親の就労を助けることで経済に貢献しているという事実があります。

高齢者のため、私たちにできること


高齢者はこれからも、他者に依存しないこと、交通手段への容易なアクセス、高齢者向け総合サービス、レクリエーション、自然との関わりを求めています。そのためには、適切な場所で、適切なケアを、適切なタイミングで提供することが極めて重要です。

バーチャルな解決策は、ヘルスケア、社会的つながり、サービスの利用などの面で、高齢者に必要な支援を提供することを容易にします。しかし、その前に、デジタル・ディバイドが解消されなければなりません。高齢者は、テクノロジーの活用に大きな支障があり、デジタルリテラシーも低い傾向にあります。私たちは、デジタル技術における運用能力の格差を埋め、高齢者がこれからも自宅や地域で生きがいのある生活を送れるよう支援しなければなりません。

また、私たちは、ただ支援と依存の経済分析を続けるのではなく、高齢者がこの先もどの程度社会に貢献する必要があるのかを考慮しなければなりません。最善の解決策により、高齢者の社会参加や人とのつながりが促進され、社会への帰属意識が高まります。

世代間のつながりは不可欠です。互いに歩み寄り、努力するなら、互いに多くを学ぶことができます。

高齢者を阻む、構造的な障害に対処し、権利を保護する具体策の策定にも取り組まねばなりません。たとえば、高齢者の権利に関する国連条約を制定することはできないでしょうか。するべきことはまだ残っていますが、偏見を取り除き、私たちの経済や社会における高齢者の重要性を認めることは、価値ある出発点となります。


(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Sofiat Akinola, Project Lead, Shaping the Future of Health and Healthcare Platform, World Economic Forum

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