世界経済フォーラムの年次総会(通称:ダボス会議)やGlobal Agenda Councilなどでは、この問題について様々な議論がなされてきたが、多くの専門家は、次の3つの能力が、AIに代替されない高度な能力であるとの考えで、一致している。
・ホスピタリティ
・マネジメント
・クリエイティビティ
しかし、実は、この3つの能力も、急速に発達するAI技術によって、その初歩的な部分の能力については代替されていく。従って、我々は、この3つの能力についても、AIが代替できない、より高度な能力を身につけ、磨いていかなければならない。
では、それは、どのような能力か。
それぞれ、短く、要点を述べておこう。
まず、最初の「ホスピタリティ」については、受付サービスや案内サービスなど、「言語的なコミュニケーション」に基づくマニュアル的なサービスは、AIが簡単に代替してしまう。従って、人間は、もっと高度なホスピタリティの能力を身につけなければならない。そのためには、特に、次の2つの能力が重要になる。
第1に、「非言語的コミュニケーション能力」である。
すなわち、顧客の無言の声に耳を傾け、その気持ちを推察し、また、言葉を超えて、こちらの温かい気持ちを伝える能力を磨いていく必要がある。
第2に、「顧客に対する深い共感能力」である。
これは、非言語的コミュニケーション能力を最高度に発揮するために最も大切な能力である。
そして、言うまでもなく、この「非言語的コミュニケーション能力」と「顧客に対する深い共感能力」は、AIでは決して代替できないものである。
次に、「マネジメント」については、財務マネジメントや資材マネジメント、人材マネジメントやプロジェクトマネジメントなどの仕事は、これから、AIが人間以上の能力を発揮して代替していく。従って、人間は、AIでは代替できない高度なマネジメントの仕事に向かう必要があるが、そのためには、特に、次の2つの能力が重要になる。
第1に、「成長マネジメント能力」である。
それは、組織のメンバーが、それぞれの能力を高め、プロフェッショナルとして成長していくことを支える能力であるが、その能力の基本となるのは「コーチング能力」である。
第2に、「心理マネジメント能力」である。
それは、組織のメンバーが、対人関係などで精神的な問題を抱え、悩み、苦しむとき、そこから立ち直ることを支える能力であるが、その能力の基本となるのは「カウンセリング能力」である。