ブルーライトカット眼鏡、生産性向上に貢献 研究結果で示唆

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仕事のストレスのせいで良く眠れないと感じている人は多く、米国ではその割合がなんと52%にも上る。睡眠不足は問題につながるもので、睡眠の長期的影響に関する研究からは、睡眠時間が6時間以下の人は4~7年分の老化に相当する脳機能の低下が起きることが示されている。睡眠不足はストレス耐性を低下させ、脳機能を損なってしまう。

研究からは、睡眠不足が記憶と学習に影響することが示されている。脳の動きは遅くなり、忘れやすくなり、集中力がなくなり、機嫌も悪くなる。さらに、仕事中に居眠りをする可能性も上がる。これではキャリアでの成功が妨げられてしまうことは、誰にでも分かるだろう。

また、十分な睡眠を取れなければ心臓発作や脳卒中のリスクが高まり、心臓病により死亡するリスクは倍になることが研究から示されている。睡眠不足は鬱(うつ)や免疫機能の低下、体重増加、高血圧や2型糖尿病との関連も指摘されている。

画面の光とブルーライトカット眼鏡


米睡眠財団の調査からは、電子機器が発する光がメラトニンを抑制し、寝つきや睡眠の継続を阻害することが示された。快眠は本人のみならず、会社の業績にも貢献する。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が起きてから、「ズーム疲れ」に関する記事が多数出されている。遠隔勤務が一般化し、多くの人が自宅で仕事や学習をしたり、ドラマを一気見したりしており、画面を見て過ごす時間は急増した。

応用心理学ジャーナル(Journal of Applied Psychology)に掲載された新たな研究結果では、就寝直前にブルーライトをカットする眼鏡を着けることで、睡眠や仕事の意思決定、日中の作業効率が改善することが分かった。

コンピューターの画面やスマートフォン、タブレットなど私たちがよく使う電子機器は、ブルーライトを放っている。ブルーライトが睡眠を阻害することがあることは、過去の研究により示されてきた。パンデミック下で在宅勤務や在宅学習を行う人々は、こうした機器にいっそう頼るようになっている。

メディア各社は最近、コンピューターの画面を見て過ごす時間が多い人がブルーライトカット眼鏡の利用によって得られる恩恵について報じてきた。今回の新たな研究結果は、概日リズム(体内で約24時間のサイクルで繰り返される睡眠・起床サイクル制御プロセス)への理解をさらに深めるものだ。
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編集=遠藤宗生

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