ファーウェイが狙う「中国スマートカー市場」の巨大なポテンシャル

ファーウェイ コンシューマー向けプロダクト責任者のRichard Yu(Huawei)


ファーウェイは、車両1台の価値に占めるICTプラットフォームの割合を70%と見ている。HiCarが車に導入されれば、取得したデータを活用したり、提携している世界中の自動車メーカーと協力してユーザーに継続的なサービスを販売することが可能になる。ファーウェイは地図プラットフォームも構築し、ナビゲーションサービスを強化している。

ファーウェイは、スマートカー分野に多額の投資をしており、中国でNo.1のプラットフォーム提供者になろうとしている。「我々は20社を超える自動車メーカーと提携しており、500万台以上の車にHiCarが搭載される予定だ」とYuは開発者会議で述べた。

HiCarの価値は、クラウドやIoT、データ、継続サービスにあり、ファーウェイはエコシステムが生み出す収益を自動車メーカーと分配することが可能になる。

ファーウェイは、新端末に関する情報をほとんど公開していないが、ダッシュボードに搭載したタブレットで、スマートフォンにインストールしたアプリが利用でき、音楽を聴いたり電話をかけることができるほか、カーナビとしても機能する。

同社は米政府の制裁から逃れて新たな収益を生み出すために、自動車メーカーと提携し幅広いサービスを提供することが考えられる。新端末の機能は、スマホのアプリを大きなディスプレイに表示することにとどまらない。ファーウェイは、車のシステムやカメラから、個々の車をつなぐクラウドエコシステムまでをAPIで統合することをビジョンとして描いていると思われる。

米政府の制裁により5G機器やスマホ事業が苦戦する中、同社にとってICTプラットフォームの重要性は増すだろう。

ファーウェイは、米政府の制裁から逃れるため、会社を小さな事業体に分解することを検討しているとされる。同社が傘下の格安スマートフォンブランド「Honor」を売却するという報道もある。そうした事態になれば、自動車分野の重要性はさらに増すことになるだろう。

編集=上田裕資

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