国際ジャーナリストのアメリカ深層メモ "Eye-opener"

バイデンが勝利発表をした直後のホワイトハウス周辺

11月3日の大統領選から5日が経過したワシントンDCには、嵐の前の静けさといった雰囲気が漂っていた。

選挙前から大統領選の結果は直ぐには出ないだろうと見られていたが、案の定、勝者の確定が遅れた。その理由は言うまでもなく、新型コロナウィルスによる郵便投票の激増だった。

11月3日、開票が始まると順調に表を伸ばしたドナルド・トランプ大統領だが、日が変わって4日になるとジョー・バイデン候補の追い上げが始まる。というのも、郵便投票を選択した有権者の多くは、新型コロナ対策に敏感な民主党支持者が多かったためだ。バイデン陣営のデータサイエンティストは翌日の夜までにほぼ勝利を確信したという。そんなことでバイデンはその夜に事実上の勝利宣言のようなスピーチを行なっている。

現在、ワシントンDCのホワイトハウス周辺には、一カ所だけ人が自由に集まれる場所がある。ホワイトハウス正面から200メートルほど先の防犯柵の外側だ。ホワイトハウス周辺でもっともよくホワイトハウスが見え、もっとも近い。

そこは、5月に白人警官に殺害された黒人男性の事件以降、黒人の人権運動「ブラック・ライブズ・マター」の活動拠点の一つとなっており、ホワイトハウスにつながる一本道は「ブラック・ライブズ・マター・プラザ」という通りに名前が変更されている。

選挙当日の3日、ホワイトハウスが見えるその場所は異様な混乱状態だった。大勢のトランプ支持者とバイデン支持者がひしめきあい、完全に密状態。時に両陣営の人たちが口論になることもあった。

熱気がすごく、さらにワシントンDCではマリファナ(大麻)が合法ということもあり、あちこちでマリファナの匂いが漂っていた。ちなみに、ワシントンDCでは今回の大統領選と一緒におこなわれた投票で幻覚剤成分を含むマジックマッシュルームなども非合法化することに決まった。


選挙当日。密状態で口論をするトランプ支持者とバイデン支持者

ホワイトハウス周辺ではこうした騒動と一触即発の状況をみすえて、地元警察はホワイトハウス周辺への武器の持ち込みや所持を禁じるポスターをあちこちに張り出していた。

ホワイトハウス前には、世界的なニュースの現場ということもあって数え切れないほどの海外メディアが集まり、それぞれが中継や撮影を行なっている。そんなカメラを通して、世界にメッセージを送りたいのかどうかはわからないが、拡声器で「トランプとペンスは今すぐ出ていけ!」と叫ぶ男性や、アメリカの旗を振る女性二人組、大音量で平和を訴える歌を歌う人たちなどがごった返していた。そうした活動家たちは、メディアの取材に二つ返事で答えていた。

文=山田敏弘

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