アジア

2020.11.08

新時代の「中国の富豪」、電子タバコ業界からもビリオネアが誕生

3年連続で1位となったアリババ創業者のジャック・マー / Getty Images

フォーブスは11月5日、毎年恒例の「中国の富豪400人」ランキングを発表した。新型コロナウイルスのパンデミックが世界に吹き荒れた中でも、中国の富豪らは保有資産を伸ばし、ランキング入りのための最低資産額は昨年の10億ドルから、今年は15億5000万ドルに上昇した。

1位は3年連続でアリババ創業者のジャック・マーで、保有資産は656億ドル(約6.8兆円)だった。2位も昨年と変わらずテンセントCEOのポニー・マーで、552億ドル。3位には、中国のミネラルウォーター最大手として知られる「農夫山泉(Nongfu Spring)」の創業者、Zhong Shanshan(鍾睒睒)が急浮上し、保有資産は539億ドルとされた。

今年の注目ポイントの一つは、新たにランキング入りを果たした新人が68人も居ることだ。その多くが自身で事業を立ち上げた人々で、IPOや株価の急騰によって資産を急増させている。

新人の中で首位に立ったのは、乳製品メーカー「飛鶴乳業(Feihe)」の会長兼CEOのLeng Youbinだ。乳幼児向けの粉ミルクを主力とする同社は、2019年11月に香港市場に上場しており、発効株式の約45%を保有するLengの保有資産は99億ドルとされた。

2位には、中国の電子タバコ業界が生んだビリオネアとして有名な「Smoore International(思摩爾国際)」の創業者であるChen Zhipingが入った。2009年創業の同社は深セン本拠の企業で、JT(日本たばこ産業)やブリティッシュ・アメリカン・タバコなどに電子デバイスを納入している。

2019年の売上が11億ドルを突破したSmoore Internationalは、自社が世界最大の電子タバコ機器メーカーであると述べている。同社は今年7月の香港市場への上場で9億ドル以上を調達しており、創業者のChenの保有資産は95億ドルを突破した。

3位と4位には電子部品サプライヤーの「Gongniu Group(公牛集団)」を創業した兄弟のRuan LipingとRuan Xuepingが入り、保有資産はそれぞれ約69億ドルとされた。同社は1995年の創業で、2020年2月に上場を果たしていた。

パンデミックの中で売上を急増させたのがヘルスケア関連企業の創業者たちだ。7位には医療機器メーカー「Contec Medical Systems」会長のHu Kunが入った。医療機関向けにパルス酸素濃度計などを販売する同社は、今年8月に深セン株式市場に上場し、会長のHuの保有資産は47億2000万ドルに達している。

アリババ傘下の金融企業「アント・グループ」も、複数の幹部らを今年の富豪のランキングに送り込んだ。同社は11月3日、香港と上海で計画していたIPOを延期すると発表したが、フォーブスは本ランキングの作成にあたり、10月26日に同社が開示した上場に向けての株式の公募価格を参考に幹部らの保有資産を算定した。

その結果、アント会長のエリック・ジン(Eric Jing)の保有資産は現在、28億ドルと試算されている。ジンはペプシコの取締役を務めた後、2007年にアリババに移籍し、2016年から2019年までアントのCEOを務めていた。

編集=上田裕資

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