米大統領選、出口調査でみえた有権者の「優先事項と関心事」

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2020年の米大統領選の出口調査の結果は、ドナルド・トランプ大統領とジョー・バイデン前副大統領のどちらにとっても、複雑なものになったといえる。有権者の多くは、現在の生活は前回選挙が行われた2016年より良くなっているとは考えていない。

調査会社エジソンリサーチが米国の報道機関のコンソーシアム、ナショナル・エレクション・プール(NEP)の委託を受けて行った出口調査によると、自身の財政状況が2016年と比べて「改善している」と答えた有権者は41%だった。「ほぼ変わらない」は38%、「悪化している」は20%だった。

また、現在の米国の経済情勢については、否定的に評価している有権者が大半だった。「悪い/あまり良くない」とした人は51%、「とても良い/良い」と答えた人は48%となっている。

新型コロナウイルスのパンデミックの発生前には経済面での実績を誇り、「歴史的な景気後退の後、経済は急回復する」と主張してきたトランプにとっては、良い兆候とはいえないだろう。

また、優先すべき課題について、トランプと有権者の間に考え方の違いがあることも分かった。最優先事項は「パンデミックの封じ込め」だと答えた人は52%、「経済の再建」だとした人は42%だった。

マスクの着用について尋ねたところ、これを「公衆衛生に関して負うべき責任」とみている人は68%、トランプと同様に「個人の選択」だと考えている人は30%だった。

パンデミックの収束に向けた対策については、有権者の見方はおよそ半数ずつに分かれていることが分かった。対応が「悪い」と答えた人は51%、「うまくいっている」と答えた人は48%となっている。

一方、票を投じるにあたって最も重視した問題は何かとの質問に対しては、「経済」と答えた人が最も多かった(34%)。次いで「人種間の不平等」(21%)、新型コロナウイルス(18%)を挙げた人が多く、「医療政策」「犯罪・治安対策」と答えた人はそれぞれ11%だった。

そのほか、Foxニュースの出口調査では、有権者の72%が、政府運営の健康保険への移行を支持していることが明らかになっている。これは、バイデンと民主党員のほとんどが支持する一方、トランプと共和党は反対している政策だ。

出口調査で「支持率」は分からない


世論調査などの結果の分析を行う米ファイブサーティエイト(FiveThirtyEight)の選挙アナリスト、ナサニエル・ラキッチによると、出口調査は「理想的な条件下で行ったとしても、誤解を招く恐れがあるものだ」という。

ラキッチはその理由について、次のように説明している。

「出口調査は実際のところ、有権者の性別や人種、学歴といったさまざまな人口統計的変数に基づき、当選した候補の勝因を明らかにする際に役立つものとなるよう設計されたものだ。出口調査は、候補者に対するリアルタイムでの支持を判断するために使われるべきものではない」

編集=木内涼子

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