自動運転を変える「4Dライダー」を作るエヴァが間もなく上場

(c) Aeva

テック業界ではSPAC(特別買収目的会社)を活用した上場が相次ぐ中、自動運転に必須の技術とされるライダー(LiDAR)のスタートアップ企業「エヴァ(Aeva)」も、“SPAC上場”を目指していることが明らかになった。

同社は、LiDARやカメラ、レーダーを組み合わせた自動運転車向けセンサーを開発しており、上場後の企業価値は20億ドルを突破する。カリフォルニア州マウンテンビューに本拠を置くエヴァは、アップル出身のエンジニア2名によって設立された。

同社は、InterPrivate Acquisition Corpとの合併により、2021年第1四半期までにニューヨーク証券取引所に上場する。ティッカーシンボルは「AEVA」を予定している。

上場にあたりAdage Capitaやポルシェも出資を行ない、調達額は最大3億4300万ドル(約358億円)に達する。既存株主であるLux Capital、Canaan Partners、ロッキード・マーティンは、上場後も株式を保有する。

「我々は、エヴァ経営陣と初めて面談する前は懐疑的だったが、話を聞くと自動車以外の領域への参入も視野に入れており、これまでのライダー企業とは違うと感じた。創業メンバーはアップル出身で、コンシューマーヘルスや工業向け製品に関する造詣が深い点も、大きな差別化要因だと感じた」とInterPrivateの創業者兼CEOのAhmed Fattouhは話す。

精緻な3D画像を生成するライダーは、自動運転車が周囲を正確に認識する上で不可欠なテクノロジーだ。一方で、コストが高く、デジタルカメラやレーダーとのシームレスな統合が難しい点などが課題となっている。ライダー大手のヴェロダイン(Velodyne)とルミナー(Luminar)もSPAC上場を果たしている。

画期的テクノロジーの「4Dライダー」


エヴァは、これら2社とは異なる「4Dライダー」を売りにしている。これは、ライダー機能をシリコン製のシングルチップに統合し、速度も計測できるというものだ。通常のライダーが、走行する車両から周囲の物体にレーザーを照射して反射光を検出するのに対して、エヴァのシステムは低出力レーザーを連続照射し、物体から反射される波形の周波数の変化を計測する。

同社の共同創業者であるSoroush Salehianによると、このアプローチは従来のライダーよりも精度が高く、他のセンサーと干渉しないのが利点だという。

「我々は、レーダーとよく似た手法で速度を計測している。300〜400メートル離れた物体の速度を点やピクセルごとに検出し、センチメートル毎秒の精度で計測できる。これは、写真がモノクロからカラーになったのに匹敵する進化だ。計測能力の進化は、あらゆることを変える。我々はまさにそうした変化を提供したのだ」とSalehianは話す。
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編集=上田裕資

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