プジョー208の出来映えは、手の届く高級フランス料理のようだ

幅広い世代に人気を得ている「プジョー208」

プジョー208は、もしかしたらフランス車を愛好する者たちの、最も欲しがる1台ではないか。いや、フランス車愛好者だけでなく、昔からドイツやイタリアの人気ハッチバックが好きな人でも、208に乗り換えても良いと言う要素がいっぱい積まれている。

今年7月に日本で発売開始となったばかりだけど、業界の同僚たちが何でそんなに「よ〜し!」と肯(うなづ)いているのか、自分もこの目で確かめてみた。正直に言って、最大のライバルのVWポロより外観も室内も美しいし、走りも価格も良い勝負だ。

プジョーの広報の話によると、顧客の年齢層はバラつきがあるようだ。若い女性ユーザーもいれば、中年のカップルもいるくらい、208のデザインとエッセンスは幅広い顧客に受けるらしい。僕も最初、肉眼で見て素直に格好いいと感じた。デザインはどの角度から見ても、プロポーションが良いし、とてもスタイリッシュだ。リアはコンパクトで締まっているし、横顔はスリークで、フロントはプジョーのシンボルであるライオンのモチーフを採用している。一番目立つのは、ヘッドライトだ。ヘッドライトの中に三本のLEDライトがライオンの「爪」のように縦についていて、その下のデイライト・ランニング・ライトは、まるでライオンの牙のようだ。

208を前から見た

でも2つのクエスチョンマークがある。リアドアの窓が下まで全部下がらないと言うことと、何で燃料補給の蓋をそんなに大きく作る必要があったのかが不思議だけどね。

室内も自動車業界の美術品と言えるほどの高い出来だ。どの小型車よりもシックでエレガント。二段のステッチ付きダッシュボードのデザインは素敵だし、センターコンソールのスイッチ類はピアノの鍵盤みたいな上品な雰囲気が漂う。7インチのタッチスクリーンのディスプレーも操作しやすいし、言うまでもなくアップル・カープレイやアンドロイド・オートに対応する。また、USBポートは4つもついていて、携帯電話の自動充電パッドも整備されている。

褒めまくっているように聞こえるかもしれないけど、ここで一つだけ指摘しておきたいことがある。運転席に座って理想なドライビングポジションを調整しようとすると、少し面倒な作業が必要なこともある、という点だ。

速度計やタコメーターなどの3Dのゲージ類を囲む「 i コクピット」と言う斬新なデザインは、第一印象では新鮮でスタイリッシュだと思った。それを小ぶりで四角いステアリングホイールの上から見る設計だ。でも実際、ステアリングのチルトとテレスコ機能をいじってドライビングポジションを調整する時、ドライバーの体型や身長によって、ステアリングが下過ぎると足とぶつかるし、上過ぎると、速度計などがちゃんと見えなくなる。はっきり言って、こう言うデザインは自動車業界ではユニークだ。だから、少し慣れが必要だ。場合によっては、ドライビングスタイルを変えなければならないこともあるかもしれない。また、208はデザイン重視だから、後部席は少し狭い。180cm以下の人ならギリギリ座ることができる。
次ページ > プジョーらしいデザインiコクピットの写真

文=ピーター ライオン

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事