谷本:では、最後に締めくくりのメッセージをお願いできますか?
楢﨑:イノベーションを起こす為には、決定権を持つ経営陣の企業や社会に対するコミットメントが必要だし、このままでは死に絶えるかもしれないという危機意識や、今からできることに限界はないと思うチャレンジ意識を持って欲しい。要するに経営陣を含めて、一人一人の思い切りが大切だと思いますね。
三苫:僕が考えるイノベーションは、今ある事業の改革ということで、決して大掛かりなことではないんです。そして、それを実現する為には、社内の一人一人が価値の向上と、より良い変革を目指してイノベーションを意識することに他ならないと考えています。
心に刺さる意見に対して真摯に耳を傾け、切磋琢磨して勉強する。僕自身、郵政の改革についてもいろいろな人たちの意見を伺いながらさらに勉強する必要があると思っていますし、これから先も勉強し続けて行きたいと思っています。
馬場:社会全体の経済システム、エネルギーシステムが崩壊しかかっている現在は、イノベーションについて語り合っている場合ではないと思います。難しさはたしかにあるが多くのベストプラクティスがすでに存在していて、あとは理解し実行するかどうかだけ。正直言って私自身は「コーポレートイノベーション」について語るのは、少し辟易としているんです。
でも、だからと言って、世の中が思惑通りに良くなっているわけではない。私は現在の形態で動いている資本主義システムは、いつか必ず崩壊すると考えているんです。では、それに代わる経済システムとは何なのか?これからのイノベーションは、そうしたこれまでの常識の上に成り立っている意識も疑いながら考えていくべきではないでしょうか。
谷本:皆さん、本日は貴重なご意見をありがとうございました。
楢﨑浩一(ならさき・こういち)◎SOMPOホールディングスグループ CDO執行役常務。三菱商事勤務を経て、2000年にアメリカLineo、2002年にはACCESSでスタートアップ事業に携わる。その後2016年に入り、SOMPOホールディングス執行役員、2017年から現職。
馬場渉(ばば・わたる)◎パナソニック 環境エネルギー事業担当参与。2001年、SPAジャパン入社、2011年、リアルタイムコンピューティング本部本部長、2014年、チーフイノベーションオフィサー、2015年、欧州SPA(本社)バイスプレジデント、2017年、パナソニックビジネスイノベーション本部副本部長、2018年、同本部長。2020年より現職。
三苫倫理(みとま・のりまさ)◎日本郵便執行役員 郵便・物流業務統括部長。2000年、郵政省入省、2004年、内閣官房郵政民営化準備室へ出向し、民営化関連法案検討プロジェクトに参画、2006年、日本郵政株式会社し、民営化組織設計などに従事する。その後、日本郵便株式会社経営企画部門を経て、2017年から現職。