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Photo by Barry Chin/The Boston Globe via Getty Images

2007~2009年の大不況(グレート・リセッション)は、米国の労働市場に長期的ダメージを与え、一定の回復をみるには数年の時間と、成長、雇用、賃金のための多岐にわたる景気刺激策を要した。

そして今、新型コロナウイルスのパンデミックにより、米国経済がまたもや「失われた10年」の危機にさらされている。労働市場に新規参入する若い世代は、足止めを食らう可能性がある。

カリフォルニア大学バークレー校のジェシー・ロススタイン(Jesse Rothstein) は最新の論文で、米国の雇用市場の悪化は、前回の不況以前の2005年に始まっており、そこからずっと下降線をたどっていると論じた。

「近年、大卒者の雇用見通しは劇的に低下した」と、ロススタインは述べる。

「2005年頃に労働市場に参入した人々を皮切りに、年齢集団の就業率が年を追うごとに低下している。同じ労働市場にいる、年齢が上の層の労働者と比較してのことだ」

これから起こることを想像してみよう。米国の失業率は、約1年前に3.5%という歴史的低水準を記録したあと、2020年4月には、大不況以降で最悪となる14.7%に急上昇した。

その後は7.9%まで低下したものの、依然としてきわめて高い水準にある。比較すると、大不況時の失業率はピーク時で10%であり、そこに到達するまでに2年かかった。

さらに心配なのは、毎週の失業給付申請が劇的に増加しており、深刻な不況を示す水準で推移していることだ。もう数カ月にわたって、毎週100万人以上の米国人が初めての失業給付申請をおこなう状況が続いている。

こうした背景を考慮すれば、労働市場の状況悪化によって労働者が選択肢と交渉力を失うという、大不況時と同様のダイナミクスが今回も作用するだろう。

「雇用パターンは、パンデミックに起因する2020年の景気後退に我々が十分に準備できていなかったことを示している」と、ロススタインは書いている。

「2020年の大卒者に加え、おそらく2021年と2022年の大卒者も、史上まれに見る弱体化した労働市場に参入することになるだろう。本論文での分析の結果は、彼らが不況によって永続的なダメージを負うであろうことを示している。2005年以前の人口集団と比較してすでに劇的に低下していた雇用水準は、さらに転落していくだろう」

ロススタインは過去を振り返りつつ、「就業率の低下は、不況が終わりを迎えたあとも続き、不況期に労働市場に入った人々だけでなく、それ以降の世代も損失を被った」と述べる。

安定した最初の職に就けなかった場合、仕事の面で長期的な悪影響を被ることがほかの研究で示されていると、彼は指摘する。

「好況時なら、正式採用の見込みのあるインターンに就けたはずの労働者が、不況時には、先のない仕事に就かざるを得なくなる。すると、直近の賃金が下がるだけでなく、将来のキャリア展望まで悪化する」

「初期条件が、卒業後の賃金に対して数年間にわたる持続的影響を与えるという先行研究の結果が追認された。また、初期条件は就業率にも持続的影響を与えており、その効果は薄れるどころか、(少なくとも40歳までの)労働者のキャリア全体にわたって作用しつづける」と、ロススタインは述べた。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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