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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介


世界への旅と次の一手


ジャック・マーはどんな一手を次に打とうとするのか? 18年のオープンレターでも表明している通りに、まずは調査に取りかかるのだろう。

「私は無為に時を過ごすことに我慢がならないたちなのですが、幸い今回は時間の余裕がありますから、情熱を傾けるべき分野をじっくり探そうと考えています」。フォーブスのインタビューで彼はそう語った。「急ぐつもりはありません。1年をかけてあちこちの国を旅して回り、教育相や各種学校、教師、それから素晴らしいアイデアを胸に抱えている多くの人々と話をしたいと考えています」

実際、彼は19年11月にガーナを訪れている。ジャック・マー財団がスポンサーとなってこのたび初開催となったアフリカ・ネットプレナー(ネット起業家)・サミットに審査員として参加するためである。アフリカ人の起業家精神を盛り立てるために受賞者を審査するサミットのもようはアフリカズ・ビジネス・ヒーローズを通じてアフリカ大陸全域で放送された。

「もっと多くのジャック・マー、ビル・ゲイツ、そしてウォーレン・バフェットを見つけだし、育てることができたなら、アフリカは変わっていくに違いありません」。マーはそう語っている。

ジャック・マー財団はいまのところひとつのオフィスと30人に満たない常勤のスタッフを抱えているに過ぎない。「そんなにちっぽけな」と思えるのかもしれないが、00年当時、アリババの従業員がまだ150人でしかなかった時点で、マーがフォーブスに、アリババを世界トップ10のウェブサイトにしてみせるという意気込みを語ったことを思い返していただきたい。だから、次の5年間でジャック・マー財団をどうするのか問われたなら、マーは自信満々にこう答えるに違いない。

「この財団は効率的に事業を行い、尊敬を集める組織となることでしょう」


〈ジャック・マーの慈善事業〉
総額約2億2200万ドル。女子サッカー事業以外はすべてジャック・マー財団による全額寄付で賄われている。

農村地域の教師育成支援(中国)
4500万ドル(2017年)

中国の農村地域で教師育成のための10年にわたるプログラム。

ニューキャッスル大学マー&モーレー奨学金(オーストラリア)
2000万ドル(2017年)

オーストラリア人の友人ケン・モーレー(故人)に敬意を表した奨学金。

アフリカIT起業家支援(アフリカ)
1億ドル(2018年)

アフリカで開催される起業家アワードの賞金。10年にわたるプロジェクト。

ラニア女王基金(中東)

300万ドル(2018年)

ヨルダンのラニア女王が運営する基金。主にオンライン無料教育などを支援。

女子サッカー支援(中国)
1 億4300万ドル (2019年)

アリペイ財団、ジョセフ・ツァイ財団との共同拠出。女子サッカーの発展を支援。

湿地保護(中国)
1400万ドル(2019年)

浙江省杭州市にある西渓湿地公園の研究と保護のために使われる。


ジャック・マー◎アリババ・グループ共同創業者。2014年のNY証券取引所へのIPOでは、世界最高額、250億ドル(約2.7兆円)を調達。19年9月にアリババ会長を退くことを発表。新型コロナウイルスのパンデミックでは、数百万個のマスクほか医療装備品をアメリカ、ヨーロッパ、アフリカなどの国々に寄付した。

ジャスティン・ドーベル = 文 ラッセル・ウォン = 写真 待兼音二郎 = 翻訳

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