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2020.11.25

高い技術をもった13社をグループ化 由紀精密3代目が明かした事業承継の哲学

由紀精密3代目 大坪正人氏

先代が築いた昔ながらの事業は、子孫だから受け継ぎ、そのまま継続していくだけでは立ち行かない──。新型コロナウイルスが猛威をふるい、デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する今だからこそ、家業を承継する次世代経営者の悩めるところでもある。

そんな家業承継者たちが、エヌエヌ生命がNPO法人ETIC.とNPO法人農家のこせがれネットワークと運営する家業後継者コミュニティー「家業イノベーション・ラボ」が開催したライブ配信イベント「家業イノベーション・ラボ×Forbes JAPAN Small Giants 『ものづくりの家業におけるイノベーションのヒント』」に集った。祖父が築いたネジの町工場から航空宇宙、医療産業へと事業展開を図り、家業をV字回復させた株式会社由紀精密の3代目、大坪正人氏(以下、大坪)の講演を軸に、家業イノベーターであるパネリストたちとのディスカッションが展開された。


あらゆる産業は時代に合わせて転換されてゆく


祖父の代にネジを作る町工場として始まった由紀精密は、電気機器部品から航空機用部品製造へと転換し、さらに超小型衛星筐体の製造、宇宙から微生物の根源を探す装置の設計・製造など宇宙産業、精密複雑機械式時計、脊椎インプラントシステムなど事業を拡大した。大坪が由紀精密に入社する以前の2005年に比べ、およそ5倍の成長を遂げている。

大坪は事業承継後、先端技術をさまざまな製造業へと横展開させ、13社を束ねる由紀ホールディングスと進化させた。

「ものづくりはプロダクトライフサイクルの次の波に乗らなくてはいけない、あらゆる産業は時代に合わせ次の産業に転換されてゆく。我々にとってはものづくりの力で世の中を幸せにするのがミッションだ」と大坪は語り、イノベーションを起こしていくためのキーワードを5つにまとめた。

1. アンテナは常に高く

2. 面白いと思ったことはやってみる

3. 不可能と思わない

4. 変人との出会いは大切に

5. 情報発信は重要


生きているうちにどれだけの足跡を残せるのか


続くパネルディスカッションでは、1901年創業の前田精密製作所5代目の前田真氏(以下、前田)と、1927年創業のこんにゃくメーカー、中尾食品工業4代目、中尾友彦氏(以下、中尾)が参加。家業イノベーション・ラボの実行委員であるNPO法人農家のこせがれネットワーク宮治勇輔氏(以下、宮治)の司会でディスカッションが始まった。


オンラインイベントの様子。左上より時計回りに中尾、大坪、前田、宮治

宮治より、初めの一歩を踏み出すことに何が必要なのかを尋ねられた大坪は、「まず考え抜くことはお金をかけなくてもできる、自社の強みを見つけて長期プランを立てる」と返し、次のようにその理由を語った。

「今ならSNSの普及などで予算をかけずとも自分のアイデア次第で情報発信ができる、自社の魅力を継続的に発信していけばいいんです」

前田からM&Aを実行した理由を問われると大坪はこう答えた。

「生きている間にどれだけのことができるか考えた際、1社を伸ばしていくよりももっと広くできないか、これまでやってきたことは他の中小製造業にとっても有効な手法になるのではないかと考えた」

承継した事業の発展とともに、並立でグループ経営を仕掛ける。基幹事業は金属加工で、全ては金属加工を軸足に新たなマーケットを開拓していくことを常に考えているという。

PDCAサイクルを回していては遅すぎる


中尾は、全方位にアンテナを張りどんなチャンスが来ても行けるようにすると語る大坪が、長期的なプランとどのように整合性をとるのかと尋ねた。大坪は、「具体的な細かいものではなく、漠然とした数値目標とストーリーをイメージしている」と答え、次のように補足した。

「いくつか描いたストーリーのうち一つでも当たればいい。PDCAサイクルを1つだけ回していては遅すぎる。いくつもPlanして、可能性のあるものからDoすればいい。最初のPlanに固執せず、失敗することはあれど、壁に当たった時はスピード感と集中力で乗り越えるんです」

この大坪の考え方に、「大坪さんは何本も放つ矢を用意している状態なんですね」と宮治は頷いた。前田も、「企業は現状で満足せず変え続けなければならない、まさにアンテナを色々なところに張っていくところにつながっている」と感想を述べた。

家業承継者たちが自身の家業が持つ強みを軸足に置きつつ、先を見据えた新規事業への展開や考え方、アイデアなどを大いに語り合うイベントとなった。

今回のウェブイベント及び、家業イノベーション・ラボを詳しく知りたい人は、下記をご参照ください。

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家業イノベーション・ラボ

今回のイベント「ものづくりの家業におけるイノベーションのヒント」

文=石澤理香子

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