米国の学生ローンの実態、一律の返済免除で格差拡大の可能性も

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まとめ


連邦準備銀行の最新データは、学生ローン債務の大半が、修士号や博士号を取得した高所得層に集中していることを示唆している。だからといって、低所得層の借り手が学生ローンの返済に悩まされていないわけでもないし、経済的に苦しくないわけでもない。むしろ、多くがそうした状態に置かれている。

それと同時に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、米国人の多くがますます経済的苦境に直面している。たとえば、収入が途絶えたり、失業したり、医療を受けられなくなったりしている。

学生ローンの寛大な返済免除や残額免除といった提案については、誰を対象にすべきかを十分に考慮しなくてはならないことを、ブルッキングス研究所の調査は示している。また、誰もが大学や大学院へ進学できるわけではないことなど、教育機会をめぐる根本的な問題も背景にある。

ただし、ブルッキングス研究所は以下のように述べている。「今回の最新統計は、学生ローンを一律に免除したり、毎月の返済額を一時的に減免したりといった大雑把な政策を実施した場合、パンデミックによって最も影響を受け、パンデミック前からすでにきわめて不安定な暮らしを送ってきたケースも多い人たちが抱える深刻な問題に効果的に対処できるわけではないことに注意を促すという意味で重要なものだ。そうした政策はむしろ、大学や大学院を卒業した人と、卒業していない人たちのあいだに以前から存在している経済格差をさらに悪化させることになるだろう」

学生ローン返済に関する対応策


学生ローン返済に関する対応策を把握しておこう。以下は、ぜひ検討してほしい選択肢であり、どれも手数料は無料だ。

・学生ローンの借り換え(利率を下げ、支払額を減らすことができる)
・学生ローンの一本化(複数のローンをまとめられる)
・所得連動型返済プラン(連邦政府の学生ローンが対象)
・学生ローン返済免除(公職者が対象)

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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