米住民投票でウーバーに有利な決定、「ドライバーは請負業者」

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米カリフォルニア州では11月3日の大統領選挙当日に、ウーバーやリフトなどが、ドライバーを社員ではなく「外部の請負業者」として雇用し続けることを可能にする法案の是非を問う住民投票が実施された。その結果、この法案は賛成多数で可決された。

プロポジション22(プロップ22)と呼ばれるこの法案の可決は、配車サービスだけでなくフードデリバリー企業のインスタカートやドアダッシュなどの「ギグ・エコノミー」と総称される企業にとって朗報だ。

AP通信によると開票が68%まで進んだ段階で、賛成58.2%に対し、反対は41.8%だった。

カリフォルニア州では今年からAB-5と呼ばれる法律が発効し、企業らに外部の請負業者を社員として雇用し、福利厚生を与えることが義務づけられた。しかし、プロップ22の可決により、アプリベースのサービスで働くドライバーはその適用対象外となる。

ウーバーやリフトなどのギグ企業らは、2億ドル(約209億円)を超える資金を注いで、住民らにプロポジション22に賛同するよう広報活動を展開してきた。

新制度のもとでドライバーらは社員ではなく、請負業者という地位に留まるが、最低賃金や健康保険などの福利厚生を与えられる、しかし、プロポジション22に反対する労働者団体らは、これらのベネフィットが不十分で、法の抜け穴を利用したものだと非難している。

プロップ22に反対する労働者団体や民主党議員らは、ドライバーを請負業者の立場に置くことで、企業は労働者から最低賃金などの基本的権利を奪っていると主張してきた。さらに、ギグ企業らは地方税や連邦税の支払いを回避していると非難していた。

労働者団体のGig Workers Risingは、「金持ち企業たちは途方もない資金を注いで住民投票を乗っ取り、彼らに有利な法案を可決させた」とツイートした。

ウーバーのダラ・コスロシャヒCEOは、プロップ22をドライバーの仕事を定義する上での「第3の道」と呼んでいる。新制度のもとでは、ドライバーは独立した請負業者の地位でありつつも、州の最低賃金の120%の報酬を得ることや、健康保険、車両保険などのベネフィットを約束される。

しかし、ここ最近の2件の調査によって、彼らが約束した最低賃金が、宣伝されている額をはるかに下回ることが示された。背景には、賃金計算にあたり企業が乗車の合間の待機時間をカウントしていないことなどが指摘された。

編集=上田裕資

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