米大統領選でペンシルベニア州が大きな注目を集める理由

フィラデルフィア市庁舎前で投票に並ぶ住民たち(Getty Images)

開票が始まった米大統領選の勝者の決定において、重要なカギを握る州のひとつがペンシルベニアだ。激戦州のなかでも特に同州が注目されるのは、郵便投票が相当数にのぼったなかで、同州では投票日前に票の集計を行うことが認められておらず、一部の郡では投票日の翌日以降に集計が開始されるためだ。

投票日当日の開票結果でドナルド・トランプ大統領の優勢が伝えられ、それを受けてトランプは一方的に勝利宣言が行うことも考えられる。その後に進められた郵便投票の開票で民主党のジョー・バイデン候補が追い上げ、勝利すれば、大きな混乱が生じることになり得る。

特に他州で両候補が獲得した選挙人の数に大差がなく、同州での勝者が最終的な結果を決めることになった場合、または同州での両候補の得票数が非常に僅差だった場合には、その可能性が高い。

選挙法の専門家、カリフォルニア大学アーバイン校のリック・ハーセン教授は米紙ニューヨーク・タイムズに対し、選挙結果が僅差であれば、最終的にはペンシルベニア州によって、勝敗が決まることになるとの見方を示している。

選挙前から混乱


ペンシルベニア州が郵便投票の開票を始めるのは、投票日の午前7時以降と決められていた。前倒しで作業を開始するための法案が提出されていたが、下院・共和党の協力が得られず、成立には至らなかった。

同州の最高裁判所は10月23日、郵便投票に記載された署名と登録されている署名(有権者登録を行った際の署名など)が一致しないことを理由に票を無効としたり、異議を申し立てたりすることを認めない判断を示した。開票作業はこれにより、ある程度スムーズに行われるようになったとみられている。

ただ、同州では投票日から3日後(11月6日午後5時)までに届いた郵便投票を有効な票として受け付ける。共和党はこの締め切り日を認めた州最高裁の判断を不服として連邦最高裁判所に申し立てを行い、訴えは退けられたが、最高裁は同時に、投票日の後にこの決定を見直す可能性があることを示唆している。
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編集=木内涼子

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