ドミニク・チェンが世界中から集めた「わかりあえなさ」の形

展覧会ディレクターを務めるドミニク・チェン


同展では、さまざまな「『わかりあえなさ』をわかりあう」ための展示がされている。

たとえば、グラフィックレコーディングのパイオニアである清水淳子とインターミディエイターの鈴木悠平が組んだ「moyamoya room」は、「モヤモヤ」を抱えている初対面の参加者たちが集まり、1人のモヤモヤしている話を聞いている様子を映像に収めている。

「不思議なことに他の参加者たちは、誰も上から目線でお説教をしたり、アドバイスをしないんです。年齢もジェンダーもバラバラな人たちが集まり、気持ちの良い沈黙が合間に流れる。最後に、参加者たちはとても良い表情をして帰っていくんです。清水さんのグラレコと鈴木さんのモデレーションによって、『静かに相手の話を聞く』という対話のモードが空間を包み込むような時間になりました」

さまざまな「翻訳」のあり方を提示した作品を見て回ると、自分の知らない世界、そして、わかった気でいて知らなかったことの多さに気付かされる。

「コミュニケーションを考えるツールの展示として、鑑賞してもらえれば嬉しいです。さまざまな『わかりあえあなさ』を楽しんで、笑って、絶句して、多くの人に気持ちの良いモヤモヤを体験してほしいですね」


21_21 DESIGN SIGHT企画展
トランスレーションズ展−『わかりあえなさ』をわかりあおう

会期 2020年10月16日~2021年3月7日
会場 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
住所 東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン

写真=山田大輔 文=本多カツヒロ

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