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写真のミライ


──ポジショントークになってしまうかもしれませんが、僕も写真の可能性を信じているんです。

海外の方に日本の新聞紙やニュースサイトを見てもらうと、みんなが驚くのは「写真が小さい」ということなんです。海外の新聞社のウェブサイトは写真の使い方が大きく、写真でストーリーテリングをするんですよね。

日本にも素晴らしいフォトグラファーがたくさんいるのに、写真が「添え物」になってしまっているケースが多いのはすごく残念に思います。

緊急事態宣言下の夜の街を撮って、現実を伝えようという小田さんの活動を知って、ひとりのジャーナリストとして「ああ、自分も何かやれたかもしれない」と正直、悔しくなりました。


緊急事態宣言下の東京の夜の街を撮影した『Night Order』より

──写真の大切な構成要素として、「視覚的な美」と「被写体がもつ意味」があると思います。商業写真家として撮影をするうえで僕がコントロールできるのは「視覚的な美」の部分。被写体を「どのように撮るか?」に常に頭を悩ませながら、向き合っています。一方で、その「HOW」に携わるだけで、多くの人の頭の中に残り続ける、時間に消費されない写真が生み出せるのだろうかという葛藤もあります。

そして、今回初めて、古田さんの言う「見ちゃった」感覚があったんですよね。緊急事態宣言が出て誰も街を歩いていない、経済が回っていない、飲食店の友人たちが困っている。今まで商業写真に徹して自ら作品を撮ったりすることはなかったのですが、これは撮らなきゃと。

僕はジェームズ・ナクトウェイという、世界中の紛争地や貧困地域を撮り続けた写真家が好きなのですが、彼のウェブサイトのトップに書かれているのが、こういう言葉です。

「私は目撃者でした。そしてこれらの写真は私の証言です。私が記録したことは忘れてはいけませんし、繰り返してはいけません」

写真って、動いている世界の一瞬を切り取って、人に伝えて、警鐘を鳴らす表現でもありますよね。コロナの異常事態を撮って、写真集にして後世に残す。いい仕事をしたなと思います。

──古田さんがご自身のミッションとしていることを教えてください。

僕は自分でメディアをつくりたいと思っています。いま、硬派なニュースメディアには非常に厳しい時代です。このままいくと、生き残れないニュースメディアがたくさん出てきます。

米国ワシントンDCにあったニュースをテーマにした博物館「Newseum(ニュージアム)」では、「自由な報道は民主主義の要である」と掲げていました。報道が独立して自由に書かないと民主主義は崩れるんです。ちゃんとニュースメディアが生き残っていけるための方法、モデルを自分なりに実践して、提示したいと思っています。

いま、ニューヨーク市立大学で『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか』を著したジェフジャービス氏たちからオンラインでジャーナリズムを学んでいます。メディアで働いている世界中の仲間たちと議論して、少しずつ形にしようとしているところです。



古田大輔(ふるた・だいすけ)◎福岡生まれ、早稲田大政経学部卒。2002年朝日新聞入社。社会部、アジア総局、シンガポール支局長などを経て帰国し、デジタル版編集を担当。2015年10月に退社し、BuzzFeed Japan創刊編集長に就任。2019年6月に独立し、株式会社メディアコラボを設立して代表取締役に就任。ジャーナリスト/メディアコンサルタントとして活動する。2020年秋にGoogle News Labティーチングフェローに就任。The Executive Program “News Innovation and Leadership” , Craig Newmark Graduate School of Journalism, CUNYに在籍中。共著に「フェイクと憎悪」など。

聞き手、写真=小田駿一 構成=林亜季

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