ドンキにCのないC.C.レモンを。本気の「エソラゴト」が人を動かす


そもそもこのdeleteCのアイデアが生まれたのは、今から2年前の2018年11月2日です。友人で、現在は「特定非営利活動法人deleteC」で僕と共同代表理事をつとめる中島ナオに渋谷のカフェに呼びだされ、突然「私は、本気でがんを治せる病気にしたい」と言われました。彼女は31歳の時に乳がんが見つかり、その後転移して、がんのステージ4の状態で2年近く治療を続けていました。

そんな彼女が「本気でがんを治せる病気にしたい」と言うのですが、医者でも製薬会社の人間でもない僕には何をどうしていいのかさっぱりわかりません。でも、その時彼女が取り出した一枚の名刺を見た瞬間に「企業にCを消した商品を売ってもらい、売り上げの一部が自動的にがん治療研究に寄付される」という仕組みを思いつきました



僕たちはただただこのアイデアに興奮しました。あの商品やあの企業やあのアーティストから「C」が消えたら絶対に面白い! みんながその商品やサービスを買って、それががん治療研究の寄付になったら最高じゃないかと。

そして、中島ナオの思いや、このdeleteCのアイデアに対して共感した仲間が集い、「みんなの力で、がんを治せる病気にする」ことをミッションに掲げ、「ふだんの暮らしの中で、誰もが、がんの治療研究を応援できる社会を作る」というビジョンに向かって、みんなで1歩1歩進んできました。

社員は20人、参加企業は50社に


ただ、もちろんプロジェクトが最初から順風満帆だったわけではありません。立ち上げた当初は企業さんに「御社の商品のCを消したいんです」と言っても、「はあ……面白いアイデアですけど、無理なのはわかりますよね」と優しく諭され、医師に「がんを治せる病気にするって本気で言ってますか? その意味が分かっていますか」と詰められたりしました。

それでも、50や60という数の会社にお邪魔して、何十人という医師にお会いして対話を重ねていく中で、「え、それいいね! やろうよ!」と言ってくれる企業さんや「素晴らしい活動ですね。全力で応援します!」と賛同してくれる医師が現れました。

2019年11月には、あのC.C.レモンからCが消えた特別な商品が数百万本も販売されたり、2020年1月にはラグビートップリーグの試合で「deleteCマッチ」と冠されたスペシャルマッチが行われたりしました。そして、がん治療研究の第一線で活躍する医師らを選考委員に迎え、全国各地の医師から応募された17の研究テーマから2つの研究を選び、2020年2月に1つの研究に対して100万円ずつの寄付を行うことができました。



アイデアを思いついてから1年半あまり。気が付けば、deleteCはNPO法人として社員が20名近くになり、賛同してくれる企業の数は50社を数え、日本のがん治療研究のフロントランナーと呼ばれる医師・研究者のみなさんがdeleteCに期待の声を寄せてくれるようになっていました。

そして、この9月。かねてよりずっとやってみたかった「SNSの投稿が寄付になる」アクションを行い、想像をはるかに超える大きな成果をあげることができたのです。
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文=小国士朗

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