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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

2011年に公開された、マット・デイモン、ケイト・ウィンスレットなどオールスターキャストの映画「コンテイジョン」。

ジェフ・スコール(55)の映画制作会社パーティシパント・メディアは2011年、ワーナー・ブラザース映画と共に、世界規模のパンデミックを描いたスリラー映画『コンテイジョン』を世に送り出した。グウィネス・パルトロー演じる米企業の取締役が中国への出張で致死性の新種ウイルスに罹患し、感染症を広げてしまう物語である。
 
SF映画として好評だったが、スコールには商業映画としての成功以外に別の目的があった。映画を通じて米疾病予防管理センター(CDC)への資金援助が増え、世界にグローバル・パンデミックの脅威について警告できればと考えていたのだ。

『コンテイジョン』を製作する前の09年からスコールは、疫病の世界的流行に対する対策を進めていた。スコール・グローバル脅威基金を通じて1億ドルも寄付していたのだ。これは、ビル・ゲイツがパンデミックに警鐘を鳴らしていたことで話題になったTED講演の6年も前のことである。
 
スコールは昨年12月に新型コロナウイルスの情報を得たという。

「武漢にいた同僚から得た情報で、人獣共通感染症がヒトへ感染したと考えたのです」
 
1月になると、彼とチームは中国と商取引のある国、とりわけアフリカ大陸の国々について懸念するようになった。そこで2月に、アフリカ疾病対策センターと協力関係にあるAFENETに3億ドルを寄付すると、3月には感染症監視南部アフリカセンター(SACIDS)にも助成金を与えた。また同時に、今までに支援してきた社会起業家にも支援を開始。64団体に5万ドルの助成金を与えている。
 
スコールは20年以上も慈善事業にかかわっているが、今は致死性のある病気と闘う個人的な理由がある。14年にエボラ出血熱対策の仕事をしていたとき、彼は診断に2年も要する原因不明の希少疾患にかかった(18カ月の医療休暇を経て今は快復している)。
 
多くの課題があるものの、スコールはパンデミックに対しても楽観的だ。将来的に起こり得るパンデミックにも、希望の兆しを見出している。

「動物からヒトへと移る人獣共通感染症はたくさんあります。その多くはやがて弱毒化するものです。すぐに新たな恐ろしいパンデミックが起こる可能性は低いと思います。それに、今は世界中が用心していますから」


ジェフ・スコール◎オークションサイト「eBay(イーベイ)」の初代会長を務めたジェフ・スコール(左)。01年に同社を去ると、映画・TV番組のプロデューサーに転身。代表作に、アル・ゴア元米副大統領(右)が主演した地球温暖化についてのドキュメンタリー映画『不都合な真実』や、米アカデミー賞作品賞を受賞した『スポットライト世紀のスクープ』などがある。

文=ケリー・A・ドーラン 翻訳=フォーブス ジャパン編集部

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