大統領選が間近に迫るなか、女性の前進を支援してきたイヴァンカが自身のこれまでの努力を台無しにするような主張をするのは、中絶反対派の有権者の多くが父親のトランプ大統領を支持しているためとみられる。
政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のインタビューに応えたイヴァンカは、「非常に個人的な、そして微妙なこの問題に関する議論のあらゆる側面を尊重する」ものの、自身は「プロライフ(胎児の生命を尊重する立場、中絶反対)だ」と語った。
「…私は3人の子の母親でもあります。親になったことは非常に深い意味で、これらのことに対する私の考え方に影響を及ぼしました」
「私は…誰はばかることなくプロライフです」
報じられているところによれば、イヴァンカと夫のジャレッド・クシュナー(大統領上級顧問)は、中絶や避妊薬の処方などを行う医療サービスNPO、プランド・ペアレントフッド(家族計画連盟)のセシル・リチャーズ前会長に対し、“賄賂”を贈る代わりに中絶手術を希望する患者の受け入れをやめるよう依頼したことがある。
イヴァンカの「プロライフ」の立場は、“女性をエンパワーする女性”を自認してきた彼女のイメージとまったく対照的であるようにみえる。だが、彼女のそうしたイメージは、大統領補佐官として父親が率いる現政権を支えるようになって以来、すでに薄らいでいる。大統領は性差別的な言動で悪名高いほか、就任当初から女性の権利を縮小させてきた。
中絶反対の立場は特に、イヴァンカがこれまで主導してきた女性の地位向上を目指すイニシアチブ「Women’s Global Development and Prosperity Initiative」と相反するものだといえる。このイニシアチブを支援している専門家たちは、女性の成功を可能にする最も重要な要因の一つは、「子供をいつ、何人生むかを自らコントロールできることだ」という点で同意している。