中学受験で「社会」を後回しにすると危険? 時事問題に「小学生新聞」は効くのか

「スタディアップ」代表 野村恵祐氏 著書


そして、小学生新聞を活用する場合、重要なのが「親子の会話」だ。

「『これどう思う?』『僕はこう思うけど』といった具合にコミュニケーションを取りながら、「世の中で今起きていること」について親子で話すことが大事です」

逆に、どんなに優秀な子供でも、新聞をただ「読みなさい」と渡したところでほぼ続かない。だが、親も同じ紙面を共有し、双方向のコミュニケーションの話題にする習慣を半年〜1年くらい続けると、大人同士の会話か? と思うような話をする子になってくるという。「たとえば週末の塾の試験の送迎時に、朝読んだ紙面について並んで歩きながら会話するだけでいいんです」。

記号問題は「何を選んで間違えたのか」にヒントが


続いて、直前まで得点が上がる可能性の高い、「記号問題」の対策についても聞いてみた。

たとえばこういう問題があったとする(野村氏HPより)。

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この問題の場合、大事になってくるのは、「ア)エ)を選んで間違えたか、イ)を選んで間違えたかで対策が変わってくる」、という点だ。

なぜなら、ア)は「千葉県」が間違い。エ)は「熊本県」が間違いであることは、「地理分野の『農業』という単元」の基礎知識が頭に入っていればただちにわかるはずだ。逆に、すぐに除外しなければいけないア)エ)を選んでしまった場合は、「記号問題を解ける段階のもっと手前の段階」であり、「重要知識のインプットがそもそも足りていない」ということになる。この場合、基礎知識の暗記に力を入れる必要があるだろう。

さて、基礎知識があれば、第一段階として、ア)イ)ウ)エ)の4択から、イ)ウ)の2つに絞ることができる。その後、正解ウ)にたどりつけるのは以下、「消去法」と「感覚法」のいずれかだ。

「消去法」→青森県の生産比率があきらかに3分の2ではないことを知っているため、(イ)を消去して、(ウ)を選ぶ。

「感覚法」→青森県の生産比率が3分の2より多いことは知らないので(イ)が間違いとは特定できないものの、ぶどうの栽培や産地については知識があり、不安ながら、「(ウ)が正しそう」とわかる。

このように、記号問題で力をつけるための注意ポイントは、解いた問題の振り返りの際、単に「丸付け」ではなく、記号を選んでいった「プロセスが正しかったかどうか」を確認することだ。

歴史で「時代感」「時間の流れ」をつかむには


実は筆者の長女も小学6年生で、都内の私立中高一貫校を受験予定である。彼女の場合、歴史の対策についての「ある悩み」がある。

それは、ある単元(時代)の中の「一問一答」には答えられても、全範囲からの出題となった場合、「時代の流れを問われる問題」が弱い、という点だ。具体的には、「ある時代に、まったく違う時代の話が紛れ込んでいる場合の気づきを問われる問題」や、「ある時代の『政治と文化を同時に』問われる問題」が弱点なのだ。すなわち、「つながった時代感覚を持ちにくい」のである。

野村氏は、「歴史を学ぶ上で、流れやつながりは大変重要です」という。

「一般的には学校でも塾でも、政治・外交史を覚えた『後』に、文化・産業史を覚えます。塾などのテキストでは『政治・外交史』だけで6〜8ページくらい続き、そこからまた時代を逆流して『文化・産業史』が始まります。

たとえば、鎌倉時代。この時代を学習する場合、1185年から鎌倉時代の政治・外交史が6ページくらい説明されたあと、7ページ目から鎌倉文化が始まるんですよね。すなわち、教材を作っている大人の都合で、1185年ごろに『タイムスリップ』する。だから、政治と文化が、頭の中でつながらない」
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構成・文=石井節子

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