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Photo by Lexey Swall/GRAIN for The Washington Post via Getty Images

米国の選挙活動ではしばしば、候補者がそれぞれの地域の地元レストランを訪れる。候補者は、ハンバーガーやパンケーキ、ダイナーの定番メニューを利用し、親しみやすさと信頼性をアピールするのだ。

ファストフードから点心、寿司、ドーナツまで、候補者は自分の好みを有権者層に合わせ、相手との共通点を簡単に見出せる「食」を使って有権者とつながろうとする。そして人々はこれを判断材料として、「この候補者は私と似た人なのか」を測る。

しかし、このレンズが逆に有権者自身に向けられたとしたら?

米紙ニューヨーク・タイムズは先日、あるクイズを公開したことで、物議を醸した。クイズは、有権者の冷蔵庫の中身を写した写真を見せて、その主がドナルド・トランプ支持者かジョー・バイデン支持者かを当てさるというもの。回答者は時折、写真の中から、自分の答えの決め手となった品を選ぶようにも指示される。回答者はこのクイズを通し、自分がブランドや階級に対して持っている意識について考えさせられることになる。

正答率はわずか5割強で、ニューヨーク・タイムズ紙は結論として、「現在のスコアからは、冷蔵庫を見ただけで人々の政治的立場を判断しようとしても、その正確さはコイントスとさほど変わらないことが示された」としている。

このクイズでは、空の冷蔵庫の写真も使われた。同紙はこれについて、次のように説明している。

「空、あるいはほぼ空の冷蔵庫の持ち主は、トランプとバイデンの支持者がほぼ半々だった。空の冷蔵庫が、写真を撮ってもいいと思えた予備の冷蔵庫だったのか、それとも食料が十分に確保できない家庭のものなのかは分からない。(中略)回答者の12%余りが、自分の家族が過去2週間で、必要な食べ物すべてを手に入れられなかったことがあったと語った。これは、米国勢調査局の調査で9月に判明した割合に近いものだ」

だが、新型コロナウイルス流行により失業率が上昇し、日常生活が阻害されている中で、ある人の傾向をその人の消費能力に基づいて推測するのは正しいことなのだろうか?

情報サイト「リファイナリ29(Refinery29)」のライター、ブリトニ・デラクレタスは、冷蔵庫の中身で人の政治傾向が分かるという考えは「階級差別」だとの記事を執筆。米国に存在する切実な飢えの問題について、それを引き起こしている政治と政治家とを切り離して論じているとしてニューヨーク・タイムズを批判し、「この記事の意図が米国人に自省を促すことであったとしても、このクイズは何よりも米国に存在する階級差別を強めただけに過ぎない」と指摘している。

結局のところ、目を向けるべきなのは、他人の冷蔵庫の中身を見てその人を判断する私たち自身の消費行動なのかもしれない。

編集=遠藤宗生

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