軽井沢の最大の魅力は人的ネットワーク
このように軽井沢では活発な人口流入があり、多種多様な人々が日々交わり軽井沢ならではのセレンディピティ―を生み出している。このような地でワーケーション、テレワークを行うと、様々な人との偶発的出会いも多く、イノベーションが誘発されやすくなる。
軽井沢では、夏になると別荘でワイン会、バーベキューが日々開催される。参加者は小さな会で10人程度から、大きなガーデンパーティになると100人を超える会も多い。中には講演会付き、室内コンサート付き、東京からシェフやソムリエが来る会も多く、ステーキコーナー、お鮨コーナー、おでんコーナー、天ぷらコーナーなどもある豪華パーティーも多々ある。
別荘の会はご招待が多い。会費制はごく少数だ。だからお土産にシャンパンはじめ高級ワインを持参するのが暗黙のルールで、その銘柄の凄さにはいつも驚かされる。なぜシャンパンが多いのだろうか。標高が高いとシャンパンの泡立ちが良くなり、大自然の中で五感が刺激され味わいが際立つ。そこが、1000mの高原リゾート軽井沢でシャンパンが多く飲まれている理由なのだろう。
参加者は別荘所有者や東京の友人が中心の会が多いが、最近は地元の方も入る会も増えてきている。そこではちょっとした話から新しいビジネスに広がっていくケースも多い。
別荘だけではなく、レストランやバーなどでも偶発的出会いも多く、そこでは様々立場の人たちと会話が交わされている。今後はそこに若い新規移住者が入り、様々なレイヤーの人たちが交じり合い、イノベーションが生まれる。軽井沢はますますセレンディピティーなまちになっていくだろう。
著者撮影
コロナ禍の軽井沢別荘所有者の行動変化
今年に入り移住者の急増、インバウンドの激減の軽井沢だが、既存別荘所有者はどのような行動をとっていたのだろうか。通常軽井沢の別荘はGW前から滞在が増えるが、今年は3月頃から増え始め長期滞在者が多い。別荘地を歩いていると、滞在者が増えているのが見て取れる。スーパーの駐車場を見ると、東京ナンバーの車が例年に比べ多く、また夜別荘地を車で走ると、電気の付いている別荘も多い。
BCP(事業継続計画)の目的で別荘に滞在、リゾートテレワークをしているエグゼクティブ層も増加。多くの別荘では光ファイバーを導入、通信環境は全く問題ない。ワーク専用スペースがあり、大型モニターが設置してあったり、天気のいい日はオンライン会議を別荘のテラスや庭でやっていたりする。
オンライン会議中に野鳥の鳴き声が入り、背景の木々が紅葉で色付く、大自然を感じながらのリゾートテレワーク。それが軽井沢のワークスタイルだ。