NBAジャズ、クアルトリクス創業者が1700億円で買収

Photo by Clodagh Kilcoyne/Getty Images

ライアン・スミスは無類のバスケットボール好きである。法人向けソフトウェア企業クアルトリクス(Qualtrics)の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のスミスは、ユタ州プローヴォの自宅地階にはコートを、同地にある本社の入り口奥にもハーフコートをつくったほどだ。

ビリオネアの常として、スミスもファンとして次の段階に進む。スミスは28日、プロバスケットボール(NBA)、ユタ・ジャズの過半数の株式を取得することを明らかにした。

関係筋によると、取得額は16億6000万ドル(約1740億円)。フォーブスが今年2月に推定したチームの評価額15億5000万ドルとほぼ同じである。この評価額はNBAのチームでは21番目だった。

取得額には、本拠地のヴィヴィント・スマート・ホーム・アリーナ、ユタ州のGリーグ(マイナーリーグ)のチーム分も含まれている。NBAでは昨年、ブルックリン・ネッツも32億ドルで売却されている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が始まってから、NBAのチームの売却はこれが初めて。NBA人気が高い中国と米国の関係が冷え込んだり、今年のプレーオフのテレビ視聴率が振るわなかったりといった懸念材料があるにもかかわらず、NBAの展望はなお楽観されていることを示す動きになった。

現在42歳のスミスはヴィヴィント・アリーナで開いた記者会見で、「ジャズでプレーすることを夢見た時期もあったけれど、それはかなわなかった」と言って笑わせた。クアルトリクスは2019年1月にドイツのソフトウェア大手SAPに80億ドルで買収され、フォーブスによるとスミスの資産額は推定13億ドル。

ジャズは1985〜86年にラリーとゲイルのミラー夫妻が2400万ドルで取得し、以後35年間でプレーオフ進出27回と輝かしい成績を収めてきた。ラリーは2009年に亡くなり、ゲイルはジャズがユタ州に残留できるよう、2017年にチームを信託に移管していた。

ミラー家はチームの少数株を持ち続ける。スミスは会見でミラー家に謝意を表し、「その遺産の上に(チームを)築いていく」と誓った。

買収にはNBAのオーナー会議での正式な承認が必要になる。

編集=江戸伸禎

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