ライフスタイル

2020.11.01 12:00

新型ヤリス クロスは忘れかけていた初代RAV4のエッセンスを取り戻せるか?


エンジンは3気筒の1.5Lと、同じ1.5Lのハイブリッド仕様の2種類。僕が乗ったのはトヨタが得意とするハイブリッドと2WD(前輪駆動)。ちなみに、4WD車はノーマル、スノー、トレールの3つの走行モードが用意されているので、北海道などの雪国では心強い。

エンジンの最高出力は91psで、電気モーターの出力は80ps。総合出力は116psになっている。パワー不足に見えるかもしれないけど、決してそうではない。十分だ。面白いことに、ヤリス クロス(ガソリン仕様)の120psに対して、クロスのハイブリッド版は116ps。でも、ゼロ発進時から最大トルクを発生するので、ハイブリッド仕様は日常シーンではより軽快な走りがポイントだ。

加速は元気が良いとは言えないけど、市街での走りと高速道路で合流する時などの加速性は十分だろう。燃費は27.8km/リッター(WLTCモード)とメーカー側は言うけど、実際走ってみると、それに近い25km/Lは実現できる。

もちろん、コーナーではクロスの方はヤリスよりもボディロールが少し大きいけど、安定性はしっかりしている。ステアリングは重くもなく軽すぎることもないけど、多少アンダーを感じる。静粛性はヤリスより静かな印象だったし、乗り心地は多少固いにしても、ヤリスよりおだやかに感じた。

室内はシンプルだけど、機能性抜群。チョコレート色のカラーを用いた合皮とツイード調ファブリックのシートは、座り心地と腰のサポート性が良い。オーディオ機能とスマホ連携機能を内蔵するディスプレイを全車に標準装備。ドライバーの目の前のゲージには「エコジャッジ」と呼ばれる、燃費面や走行状況などを分析してくれるモードが表示される。

ドアから見た室内

運転席

しかし、運転席に座って、驚いたことがふたつあった。ひとつはセンタートンネルが太いせいか、ニー・スペースが窮屈だと言うことと、パワーシートのモーターがジリジリジリという音が鳴って、まるでコーヒー豆を挽いているようだった。これが標準の音だとは思いたくない。きっとそのモーターが不調だったに違いない。これはトヨタ車だからね。部品は壊れないだろう。

しっかり走れて燃費にも文句は言えない、4人の大人が楽に乗れて、荷物もちゃんと入る。ジャストフィットなSUVに乗りたかったら、258万円からスタートするヤリスクロスのハイブリッド仕様はお財布にもジャストフィットではないか。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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