経済・社会

2020.10.30 12:30

米GDP「記録的回復」に安堵できない理由

Photo by Sharon McCutcheon on Unsplash

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米商務省が29日発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、年率換算で33.1%増となり、過去最大の伸び幅を記録した。これは、米経済が新型コロナウイルスの流行による打撃から一定の回復を果たしたことを示しているものの、この増加率を額面通りに受け取ることはできない。

第3四半期のGDPは個人消費や輸出、民間の在庫投資の増加を背景に歴史的な増加をみせたものの、第2四半期に生じた大幅な減少分を埋め合わせるにはまだ程遠い。第3四半期の増加率が大きいのは、米経済が第2四半期に大幅に縮小したことが一因であり、「33.1%増」という数字は誤解を招くものだ。

さらに、この数字は年率換算であることにも注意が必要だ。年率換算の成長率は、第3四半期の成長率が1年続くという前提で算出されている。第3四半期の増加幅を示す数字としてより正確なのは前期比の増加率で、こちらは7.4%となっている。

第3四半期の成長率が1年続く可能性は低い。新型ウイルスの感染者数は最近再び急増しており、経済活動は今後鈍化する見通しだ。また、米政府は新型ウイルス流行を受けた追加経済対策を打ち出せておらず、第4四半期は前期と比べて支援策が大幅に減ることとなる。

翻訳・編集=遠藤宗生

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