英ヒースロー空港が欧州首位から陥落、ド・ゴール空港が1位に

Photo by Warren Little/Getty Images

英国のヒースロー空港は長年、欧州で最も旅客数の多い空港だったが、その地位をパリのシャルル・ド・ゴール空港に奪われたことが明るみに出た。

ヒースロー空港は10月28日、2020年の旅客数が前年比69%マイナスの1900万人であると発表した。一方で、シャルル・ド・ゴール空港の旅客数は前年比67%マイナスの1930万人だという。

「シャルル・ド・ゴール空港の旅客数は、史上初めてヒースロー空港を上回った」とヒースロー空港は声明で述べた。

パンデミック前のヒースロー空港の旅客数は、年間8000万人程度だったが、欧州の他の国が英国よりも迅速に検査体制を確立したのを受けて、ヒースローの地位は下落した。ヒースロー空港は来年の乗客数見通しを、今年の初めの予測値の6300万人のほぼ半分の約3700万人に引き下げた。

同空港CEOのJohn Holland-Kayeは、米国との間の旅客数の回復が、今後のヒースローの復活につながる可能性を示唆した。

ヒースロー空港は今年9月までの損失が、約15億ポンド(約2030億円)に到達したと発表した。

Holland-Kayeは声明で次のように述べた。「英国は、空港での検査体制の整備に遅れをとった結果、地位を下げている。欧州のリーダーは我々よりも迅速に行動し、経済を回復させている。英国は旅行客の搭乗前のコロナ検査を強化し、米国などの同盟国と連携することで経済を回復させ、欧州のライバルとの競争力を取り戻せるだろう」

英国の大空港は、パンデミックによって甚大な経済ダメージを受けている。英国2位のガトウィック空港の今年上半期の乗客数も、前年の3分の2近くの1500万人の減少となっていた。

英国の裁判所は今年初め、ヒースロー空港の滑走路拡張計画を認めない決定を下した。しかし、今回のニュースは、ブレグジット後の欧州で覇権拡大を目指す同空港を後押しする動きにつながるかもしれない。

編集=上田裕資

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