田舎町の「ズームタウン化」現象 米西部で進む

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米経済誌ファスト・カンパニーの記事「Zoomtowns are exploding in the West(ズームタウン、米西部で人気沸騰)」では、米西部の大都市に住んでいた人々が、観光地やスキーリゾート、自然公園などへの玄関口となっている「ゲートウェイ・コミュニティー」と呼ばれる町へと移住するトレンドについて伝えている。

この現象に付けられた「ズームタウン」という名は、かつて「ブームタウン」と呼ばれた新興都市をもじったもので、新型コロナウイルスの感染拡大により、適切なインターネット接続環境が確保できればどこでも仕事ができるようになったことが背景にある。

十分な資金力があったり、リモートワークに対する長期的なポリシーを掲げる企業に勤務していたりする人々が流入することで、受け入れ先の町はジェントリフィケーション(都市の富裕化)により圧迫される。町や小都市の多くでは、新たに高まる要求に応えるだけのサービスやインフラが整っていない。不動産価格が急上昇した結果、周辺の観光地から収入を得ていた住民が追い出され、勤務場所から離れた場所へと移住せざるを得なくなる。

現在は部分的な導入も含め、米労働者の60%がテレワークをしており、その多くは今後も長期的に継続する見通しだ。今のコロナ流行が収束したとしても、ワクチンの接種を拒否する人々や、ワクチンの恩恵を受けていない場所から移動してくる人々の存在により、新型コロナウイルスは今後しばらく消えずに残り続けるだろう。一方で、リモートワークは導入方法やツールの改善、そして会社と従業員によるモデルや習慣の改善によってさらに最適化できることを示す証拠もある。

ズームタウン現象は、米国以外でも起こり得るのだろうか? それは、不動産市場の変動性によって変わってくる。北カリフォルニアのように、マイホームを持つ人よりも賃貸を利用する人の方が多い地域では、人の移動が変動しやすい。それ以外の地域では、移住の決断はより保守的に下されるため、将来についての見通しがはっきりしている必要がある。いずれにしろ、将来的に大きな変化が訪れることは間違いなさそうだ。企業側も従業員側も、それに備えておくべきだろう。

編集=遠藤宗生

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