RoofTop37があるのは、都内有数の繁華街のど真ん中にあるビルの屋上だ。テントサウナを使った屋外施設は郊外に多いので、この立地は意外、もとい稀少だ。秋山さんの頭のなかには、都会のルーフトップを有効に活用できるコンテンツこそサウナであるという確信があった。
左から伍堂英太(TTNE)、サウナ師匠/秋山大輔(TTNE)
「極端に言えば、ルーフトップをうまく使うことができれば東京の街がもう一つ現れるわけです。しかし、従来のルーフトップの活用といえば、夏季のビアガーデンやBBQくらいで、オフシーズンは使われず死んでしまっていた。
その点、サウナは寒い季節こそがオンシーズンですし、雨天でも問題ありません。むしろ雨が降っていたほうが気持ちいい(笑)。屋外なのに天気に左右されないというのはビジネスの上ではすごく有利ですよね。ビルのオーナーさんにも、やっと屋上をうまく使ってくれる人が現れたと喜ばれましたよ。通年で活用できるコンテンツとして、東京中のルーフトップをサウナにしたっていいんじゃないかな。
TTNEが手掛けている茅ヶ崎の8HOTEL CHIGASAKIのサウナも同じ考えかたです。プールをプールとして使うと夏しか開放できないですが、サウナも併設すればプールを水風呂として使って、冬も営業できるんです」
8HOTEL CHIGASAKIのサウナ室から望むプール
RoofTop37のテントサウナ はロシア製。キャパシティは6〜8名
オープンして見えた、プライベートサウナの需要
RoofTop37は今年の7月にオープン。緊急事態宣言が解除されて日が浅いタイミングで、チーム内ではオープンを見送ろうという声もあったが、秋山さんは「今だからこそ絶対に需要がある」と初志を貫いた。
「今は温浴施設も含めて閉鎖空間に入ることに抵抗がある人が多いじゃないですか。TTNEのファンは芸能系や富裕層が多くて、このRoofTop37のターゲットもそう。彼らのなかでプライベート空間のサウナを求める声がより高まっていたことは間違いなかったので、絶対にオープンすべきだと。
蓋を開けてみたら、意外と平日のほうが予約が埋まるんですよ。経営者のお客さんは平日の日中に来てくれる人が多い。ワーケーションみたいな使い方だったり、ここで会議をする方たちもいます。バーカウンターもあるので、パーティーでの利用も多くて、結構シャンパンが開きますよ。
面白かったのが、女子会で使ってくれた方たち。メンバーにサウナ好きはひとりもいないのに、展示会で買った水着が今年はコロナで海やプールに行けないから、ということでサウナに行こうとなったらしく。予想外の使い方をしてくれる人が多くて、やはり需要があったんだなと」
水風呂はトライアスロンなどの競技で使用するフランス製のアイスバスを取り寄せた。水温は0〜30度まで微調整可能で、通常は16.5度をキープしているという。水風呂が冷えないという屋外サウナの難点をクリアしている
BGMにもこだわり、屋外スペースではTTNEスタッフでDJでもある伍堂英太さんが作成した2時間半のプレイリストがかかっている。アンビエントミュージックやハウスミュージックを組み合わせて、始まりから終わりまでの流れを演出する