観光業再開を受け、日本とハワイ間の観光客の往来は、今後どうなるのだろうか。現在のハワイの感染状況と合わせて、現地在住の筆者が観光客の受け入れについて紹介したい。
陰性証明で隔離を免除、1日6000人前後が到着
ハワイ州では、3月26日より州外から到着するすべての人に14日間の自己隔離を義務づけており、この措置によって日本からの直行便はもちろん、多くの航空便が運休に追い込まれた。その中で、観光業再開のきっかけとなったのが、10月15日から開始された「ハワイ州事前検査プログラム」だ。
これは、ハワイ行きの飛行機が出発する前の72時間以内に、ハワイ州保健局が指定する医療機関で新型コロナウイルス感染症の検査を受け「陰性」だった場合、陰性証明書を提示することで14日間の自己隔離が免除されるシステムだ。またこのプログラムには、ハワイ州到着4日後に訪問者の10%を対象に行われるランダム検査も含まれている。つまり、検査で「陰性」の結果さえ出れば、これまでと同じようにハワイ到着後に観光旅行を楽しめるのだ。
そのため、この事前検査プログラムの導入が発表されると、さっそくユナイテッド航空はサンフランシスコ国際空港に、COVID-19の検査を受けて15分で結果がわかるシステムを準備。オアフ島やマウイ島行きの航空便も増便すると発表し、ハワイ行きのフライトを積極的にアピールした。このほかハワイアン航空も、検査機関と提携して事前検査を受けられる体制を整え、ハワイとアメリカ本土を結ぶ便を再開すると発表。ハワイのようなリゾート地と同じように、大きな打撃を受けている航空業界にとっても、ハワイの観光業再開は歓迎すべきニュースと受け止められたようだ。
また、ハワイのほとんどのホテルが半年以上閉鎖していたが、10月15日を機に営業を再開したホテルが少しずつ増加。さらに、ワイキキ中心部で100店以上が入店する大型ショッピングセンターのロイヤルハワイアンセンターが、10月15日からほぼ全店で営業を再開した。
そして事前検査プログラムが始まると、初日の15日は地元住民を除くと6918人がハワイに到着。その後も5日間で30000人以上が訪問し、1日6000人前後が到着している。前年同月の訪問者数は1日平均およそ25000人なので、まだ前年の4分の1ほどではあるが、それでも「ハワイ旅行の需要が予想以上にあった」と、ハワイ州知事が記者会見で述べていた。
以前のワイキキは、多くの店が扉を閉ざし、日中ですら人影がまばらで閑散としていたが、筆者が訪れると、わずかながら観光客の姿を見かけるようになり、少しずつ街が復活してきた様子がうかがえた。