筆者はシャンパーニュやウイスキーが好きなので、自分にはなじみのない銘柄をバーテンダーに教えてもらいながら、心ゆくまで愉しんだ。シャンパーニュの華やかな香りは、グラスを空けた後も漂い、眠る前に飲むウイスキーは心の深い部分を熱くしてくれる。
もちろん、お酒が飲めない人にはモクテル(ノンアルコール・カクテル)も充実している。バーフードも、地産の足柄牛を使ったカレーがあり、これが美味しい。ホテルでは夕食は供してないので、どこかで食べていくべきか悩んだが、お酒とバーフードがあれば充分だった。ここでなら大切な人と一緒に過ごすことはもちろん、1人でゆっくりと静かな時間のなかで、グラスを傾けることもできる。
朝食にも使われる2階の「lounge」では山に向かって大きく開いた開口部や天窓から光が入り、植栽の森のなかで朝食や読書を楽しめる。1階のthe barとは異なる明るい空間が広がる。朝食はシャンパーニュ・ブランチと称するもので、季節のガレットとビュッフェでの旬の食材を生かしたピンチョススタイルの料理、温菜と冷菜などがあり、それをシャンパンやシードルなどとともに味わえる。
2階の「lounge」
「メインバーだけではなく、建物全てがbarであるとスタッフが認識しています。160年以上続く日本のbar文化と伝統を尊重し、革新的な取り組みを箱根から発信していきたい」と副支配人の天野浩介は今後の展開を語る。
ゆっくりとした時間の流れのなかで、お酒を通じて大切な人や友人と語らう、時には1人でグラスを傾ける。ホテルでもオーベルジュでもない、新しいbar hotelという体験は、単にホテルで宿泊しバーで飲むといったものとは異なる、「非日常」にずっと包み込まれているような感覚を味わうことができる。
連載:デザインとテクノロジーがビジネスの未来を変えていく
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