ニールセンによると、米国内でノンアルコールビールの5月の売上高は前年同月に比べ44%増えた。これは、パンデミックの初期にみられたアルコール消費量の増加は一時的なもので、ノンアルコール飲料によって自宅での飲酒量を抑えている人もいることを示すものと考えられる。
実際、ニールセンのほかのデータでも、一部の消費者はアルコールの購入をパンデミック前の水準に戻していることが示されており、こうした動向を裏づけている。
重要なのは、ノンアルコール人気は特定の世代に限られないことだ。ベビーブーム世代、ミレニアル世代を問わず、あらゆる年齢層の消費者が飲酒習慣を改めようとしている。
ノンアルコールジンのメーカー、マンデー・ジンの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のクリス・ボイドによると、同社も当初はノンアルブームの中心はミレニアル世代と考えていたが、その後、あらゆる世代の人がアルコールを控えるのに関心があることがわかってきたという。
ボイドは、18歳から87歳までの顧客がそろって、健康をとるか、おいしさをとるかという二者択一を拒んでいると説明し、こう続けている。
「今、世界はこんな状況ですが、じつのところ、アルコール以外で大人がたしなむのにふさわしい飲み物を探している人にとって、これほど良い時代もありません。糖分の多い炭酸飲料や水以外にも、いろいろな選択肢があります。この分野は勢いづいていて、断酒している人や、それに関心がある人で、より良い飲み物を求める人がどんどん増えるなか、そうした人たちの要望に応えています」
ノンアルコール飲料は、年明け1月をアルコール抜きで過ごす「Dry January(禁酒の1月)」という運動の広がりや、大手メーカーがアルコールを控えたい消費者向けの選択肢を増やしていることもあって、大きな脚光を浴びるようになっている。ハイネケンからアンハイザー・ブッシュ・インベブまで、各メーカーが新たなターゲットの存在に気づき、続々と新製品を投入している。