ADCUという名の組合(App Drivers & Couriers Union)は、配車アプリで働くドライバーや宅配業者たちの権利保護に取り組んでいる。彼らはウーバーが国際本部を置くオランダで訴訟を起こし、4人のドライバーらが「AIによって解雇された」と訴えた。ドライバーの国籍は、3人が英国人で、1人がポルトガル人とされている。
ドライバーらは、ウーバーのアプリから「不正行為」を通知された後に自動的に解雇され、反論する機会を与えられなかったという。ウーバー側はこの件が報道された後に、問題のドライバーらは「ロボットではなく、人間による評価を経て解雇された」と述べた。
ADCUはウーバーのアルゴリズムを用いた解雇が、GDPR(EU一般データ保護規則)が定める「自動化された意思決定から人々を保護する規則」に違反していると訴えた。彼らはクラウドファンディングで支援を呼びかけ、世界的なギグ労働者団体のIAATW(International Alliance of App-based Transport and the Worker Info Exchange)と共に法的手段に訴えた。
4人のドライバーのうちの1人は「詐欺行為に絡む不規則な走行」を検知され、もう一人は「運行管理アプリの不正操作を目的としたソフトウェアの使用」を検知されたという。彼らはウーバーから、弁解する権利を与えられなかったと述べている。
ADCUによるとウーバーは、ドライバーが提供された仕事を断ることや、サージプライシング(ラッシュ時などの料金の値上げ)を待つためにアプリからログアウトすることを禁じている。彼らの見解では、ウーバーは成績の悪いドライバーを解雇する言い訳として、「不正行為」を持ち出しているという。
ADCUは今年7月にも、ウーバーを相手取った訴訟を起こし、同社の解雇のアルゴリズムが、どのように運用されているかを開示するよう求めていた。
「ウーバーは長年に渡り、労働法に違反する行為を続けている。この状況が続けば、労働者に権利が与えられず、ロボットが人々から仕事を奪うディストピア的世界が定着してしまう」と、ADCUのYaseen Aslam会長は語った。
ウーバー側はこの件に関し、次のように反論している。
「ウーバーは要求されたデータや情報を開示しており、個別のデータが存在しない場合や、データの開示がGDPRが定める他人の権利を侵害する場合は、追加の説明を行っている。訴えを起こしたドライバーらのアカウントは、当社の専門家チームの手動によるレビューを経て無効化されていた」