事件ライター高橋ユキと選ぶ、受刑者がつくる「キャピック製品」10選

女性受刑者が手がけた、色鮮やかな七宝焼き。キャピック製品から掘り出し物を見つけるのも楽しい


高橋さんによると、各地の刑務所に取材に行くと、その敷地内でキャピック製品が販売されていることがある。また刑務所や拘置所のお祭りなどでも、キャピック製品が並んでいることも。このように直接見て検討できる場では、靴やタンスなどもサイズ感を見て選べるが、オンラインで商品を選ぶ場合は「失敗しても納得できる値段」で試してみるのがポイントという。この点は、キャピック製品も、普通の市場に出回っている製品でも同じだ。

次に紹介したいのが、身近に使える生活用品。なかでも、刑務所で手がけられた食品はとても珍しい。

4. 秋田刑務所:まな板(850円)


秋田刑務所のまな板

高橋:秋田県のマスコットは杉の木を模した『スギッチ』だが、秋田刑務所は杉ではなく「軽い、乾きが早い、柔らかいという桐の特性を活かした桐材のまな板を製作している。穴も空いているので吊るして乾かせる。そんな小さな工夫が嬉しい。

また、紹介しているまな板だけでなく、小さなサイズのものも作られている。好みに応じて選びたい。秋田の工場には木工機械を整備し、まな板以外にもチェストなど様々な木工製品が作られているという。

5. 横浜刑務所:中華めん(170円)


横浜刑務所 中華麺

高橋:食品を製造する刑務所は圧倒的に少ない。キャピック製品として販売されているのは、市原刑務所の乾燥しいたけか、ここ横浜刑務所の乾麺のみである。今回は、新製品として登場したばかりであるにもかかわらず「大人気」だという横浜刑務所の中華めんをチョイス。国産小麦二種類を独自にブレンドしてもちもちとした食感の麺に仕上がっているという。茹で時間は3分。ちょっと小腹が空いた時の夜食にも、ちょうどよい量だ。

6. 横須賀刑務支所:ブルースティック 3本組(275円)


横須賀刑務所 ブルースティック

高橋:小さい頃、近所の友人の家に遊びにいくと、庭などで上履きを洗っていたことを覚えている。石鹸はブルースティックだった。子供心に「頑固な汚れに強い特別な石鹸なのだ」と思っていた。そんなブルースティックが刑務所で作られていたことは大人になって知った。

横須賀刑務支所の工場は、日本全国の刑事施設の中で唯一ISO9001の認証取得しており、ここで石けんの生産作業を行っているという。シャツの襟元に、そしてやっぱり子供の靴に。意外と色々使える。
次ページ > 番外編。身近に使える伝統工芸品

コメント・文=高橋ユキ 構成・編集=督あかり 写真=矯正協会

ForbesBrandVoice

人気記事