事件ライター高橋ユキと選ぶ、受刑者がつくる「キャピック製品」10選

女性受刑者が手がけた、色鮮やかな七宝焼き。キャピック製品から掘り出し物を見つけるのも楽しい

キャピック製品をご存知だろうか。古くから「刑務所作業製品」と呼ばれ、罪を犯した受刑者たちが社会復帰に備えて、職員の指導のもとで刑務所内でつくる製品だ。売り上げの一部は、犯罪被害者支援団体の活動の助成にあてられる。

今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、都内で全国のキャピック製品を一堂に集める展示即売会「全国矯正展」(法務省主催)が中止に。1959年から開かれており、昨年は約1万6000人が来場したほど、毎年「刑務所の文化祭」のように賑わう恒例イベントだ。キャピック製品マニアにとっては残念なニュースとなった。

ただ、今年秋からオンライン上で即売会が開かれており、全国61箇所の刑務所・刑務支所の製品が集結。手頃な価格で、生活用品や雑貨などの掘り出し物が見つかると好評で、知る人ぞ知るキャピック製品専門のECサイトだ。即売会は、12月21日正午まで。

出品された多様なキャピック製品から、『つけびの村 ──噂が5人を殺したのか?』(晶文社)の著者として知られるノンフィクションライターの高橋ユキさんとともに、意外な10の逸品を選び、キャピックの楽しみ方をご紹介したい。

まずは、どんな製品を選んだら良いか分からないと思う人向けにオススメしたいのがこの3品。高橋さんの選出理由とともに眺めてもらいたい。最初に選んだのは、刑務所発の「オリジナルブランド」のヒット製品だ。

1. 函館少年刑務所:刑務所の巾着袋(850円)


マル獄シリーズ。刑務所の巾着袋

高橋:インパクトがありながらもどこかかわいらしいマークがプリントされた前掛けで、一躍有名になった感のある『マル獄シリーズ』。このシリーズから1つ選ぶなら、実用性を考えて巾着を推したい。太刺し子生地の表面には、あのマル獄マーク。裏地には迫力ある和柄も縫い付けられ、とても丈夫そう。バッグインバッグに、旅行の小物入れに、外出時の消毒グッズ入れに……大活躍の予感しかない。

2. 金沢刑務所:3Pメモ(100円)


金沢刑務所の3Pメモ

高橋:キャピック製品を使ってみたいがどれがいいだろう、と迷った時にまず使ってみてほしいのが一筆箋やメモなどの紙製品だ。他の製品よりも安価であることがその理由である。なのに枚数が多く、地域の特色が盛り込まれたデザインが施されており、お得感がある。

中でも今回は、この「3通りの使い方ができる」というメモをおススメ。「ドット柄のメモ、無地でミシン目入りのメモ、更に罫線入りのメモと、3種類のメモ用紙が1冊のメモ帳に集約されています」とのこと。この3種類を全て使いきれる自信はあまりない。

3. 熊本刑務所:本革アコーディオンポーチ A型(1445円)


熊本刑務所 アコーディオンポーチ

高橋:今回の即売会で一番欲しいと思った製品である。正直、革小物に関して言えば、キャピック製品は、落ち着いた世代をターゲットとしているように見受けられた。デザインが若者向けとは少し違うのである。

だがこの革小物の可愛さはどうだろう。老若男女問わないデザインが素晴らしい。3つに仕切られているので小銭入れにも使えそう。意外と収納力もありそうなところがますます良い。しかも1000円代!自分はこのポーチに鍵やICカードなど日々持ち歩くものを入れておきたい。

熊本刑務所 アコーディオンポーチ
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コメント・文=高橋ユキ 構成・編集=督あかり 写真=矯正協会

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