コロナ対策の現金給付、米国人はどう使ったのか

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米国政府は2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた景気刺激策として、年収7万5000ドル未満の人々全員に現金を給付した。その使い道は意外なものだった。

以下で詳しく見ていこう。

景気刺激策としての現金給付


米国政府が給付した現金は1人あたり1200ドル(約12万6000円)だが、そのお金は何に使われたのだろうか。食料品や日用品の購入、住居費や光熱費の支払いに充てられた、と予想する人が多いかもしれない。つまり、生活費の足しにしたのではないか、と。しかし、それは一部にしか当てはまらない。

ニューヨーク連邦準備銀行が6月に行った調査によれば、給付金を消費に充てた人はわずか29%だった。給付金の使い道は次のとおりだ。

・消費に充てた(寄付を含む):29.1%
・貯蓄した:36.4%
・借金返済に充てた:34.5%

それぞれの回答を詳しく見ていこう。

消費に充てた


米国連邦議会が2020年3月に可決した、総額2兆2000億ドルのコロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)は、人々に現金を給付して経済を刺激するのが目的だった。興味深いことに、調査回答者の3分の2以上は、給付金を貯蓄や借金返済に充てており、消費には回さなかった。

現金給付の第1弾では、受給資格を持つ個人に1人あたり1200ドル(共同で納税申告している夫婦は2400ドル)が支給された。17歳未満の子どもを扶養している場合は1人につき500ドルが加算された。しかし、ニューヨーク連邦準備銀行が行った調査から、景気刺激策である給付金のうち最も多い使い道は消費支出ではなかったことが明らかになった。

消費に充てたと回答した29.1%をさらに細かく分けると、以下のとおりになる。

・必需品の購入など、生活費の足しにした:18.2%
・趣味やレジャー、旅行などの費用に充てた:7.7%
・慈善団体に寄付した:3.2%

貯蓄した/借金返済に充てた


同銀の調査結果によると、給付金を使わずに貯蓄したという回答は36.4%だった。この数字は、「消費に充てた」という回答の割合(29.1%)と比べて約7ポイント高い。

貯蓄した人の割合が、相対的に見てこれほど高かったのはなぜだろうか。ニューヨーク連邦準備銀行は、いくつかの理由が考えられるとしている。たとえば、新型コロナウイルスのパンデミックがどのくらい続くのか不明であることや、社会的距離を確保するというルール、対面での買い物が規制されたことなどだ。ほかにも、「家賃の支払いが猶予されていること」も理由と考えられている(ただしエコノミストたちは、この猶予分を消費とみなしている)。

また、回答者のうち34.5%は、給付金を借金の返済に充てていた。返済先は、学生ローンや住宅ローン、クレジットカードの借金、自動車ローンや個人ローンなどだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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