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2020.11.01

いまこそ好機 アフリカ大陸、クリエイティブ業界の挑戦

ナイジェリア人デザイナー、ブブ・オギシ(Bubu Ogisi)によるブランド、アイァムイシゴ(IAMISIGO)のラゴスのショールーム(筆者撮影)


ナイロビ拠点のクリエイター集団が立ち上げた投資ファンドHevaは、2013年から主に東アフリカのクリエイティブ起業家に対して、2万〜5万ドル(約210万〜530万円)規模の融資を手がけ、これまでに40以上の事業、8000名以上の起業家を支援してきた実績がある。

トレンドを牽引するナイジェリア


アフリカ55カ国のなかでも、実績と可能性の両面において最も期待が高いのがナイジェリアだ。映画産業ノリウッドは、ナイジェリアのGDPの2%を占め、約30万人の直接雇用、約100万人の間接雇用を生んでいる。

2018年には、ネットフリックスが初めてノリウッドのオリジナル映画を買収、今年は2本のオリジナルのテレビ・シリーズをリリースした。同時に、ナイジェリアのテレビ制作会社エボニー・ライフ(EbonyLife)とパートナー契約を結び、今後も西アフリカ発のオリジナル・コンテンツを拡充させていく見込みだ。

ナイジェリア発のポップ・ミュージックも、グローバル化に成功している業界。ダヴィド(Davido)、ウィズキッド(Wizkid)、バーナ・ボーイ(Burna Boy)、ティワ・サベージ(Tiwa Savage)などは、世界的なメインストリームの一部となり、欧米のアーティストらとのコラボレーションでさらに活躍の場を広げている。

世界トップ2の音楽レーベルである、ワーナー・ミュージックとユニバーサル・ミュージックは、それぞれ2016年と2018年にナイジェリア首都ラゴスに拠点を開設し、アフリカ市場の開拓を積極的に行っている。

ナイジェリアのファッション業界も、南アフリカに次いで影響力が大きい。ユーロモニターの調査によると、サブサハラ・アフリカのアパレル・シューズの市場規模は310億ドル(約3.1兆円)。ナイジェリアはその約15%を占めると推定されている。

ナイジェリアの人口は、アフリカの中で最大の約2億人。さらに国外にいるディアスポラ人口が約15百万人と推定される。彼らは、アフリカ大陸内、そしてグローバル規模でクリエイティブ産業の重要な担い手としても、消費者としても影響力が大きい。

デジタル・コンテンツのさらなる可能性


インターネット・インフラの拡充による、低コストで安定的なインターネット回線の普及は、アフリカ大陸内における映画、音楽、ファッション、アートなど多くのクリエイティブ分野におけるデジタル・コンテンツ市場のさらなる拡大のカギを握る。

フェイスブックやアルファベット(Google)は、自社サービスの普及拡大を目論み、アフリカにおけるインターネット・インフラ整備に特に注力している。
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文=MAKI NAKATA

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