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2020.11.01 11:00

いまこそ好機 アフリカ大陸、クリエイティブ業界の挑戦

ナイジェリア人デザイナー、ブブ・オギシ(Bubu Ogisi)によるブランド、アイァムイシゴ(IAMISIGO)のラゴスのショールーム(筆者撮影)

ナイジェリア人デザイナー、ブブ・オギシ(Bubu Ogisi)によるブランド、アイァムイシゴ(IAMISIGO)のラゴスのショールーム(筆者撮影)

「いまこそアフリカのクリエイティブ産業に投資すべき」

今年6月下旬、米国のシンクタンク、大西洋協議会(Atlantic Council)のシニア・フェローであり、アフリカ投資のアドバイザーでもあるオーブリー・ルービー(Aubrey Hruby)は、ガーナで投資アドバイザリー会社を経営するロベルタ・アナン(Roberta Annan)との共著記事にて、クリエイティブ産業の最新動向や機会についての議論を展開した。

2015年のアーンスト・アンド・ヤングによる報告書によると、アフリカの文化・クリエイティブ産業(Culture and creative industries, CCI)は約50万の雇用と、42億ドル(約4400億円)の歳入をもたらしたと推定されている。

UNCTADの2018年の報告書による、2015年時点でのクリエイティブ製品の世界市場は5000億ドル。アフリカのシェアは1%にも満たない。CCIの担い手の多くが、インフォーマル・セクターに属し、資金調達や事業拡大のハードルが大きい。一方、クリエイティブ業界に特化したファンドの出現、デジタル・コンテンツの市場拡大など、新たな可能性が広がっている。

クリエイティブ産業に特化したファンド


近年、クリエイティブ産業における資金調達の可能性が広がりつつあるようだ。今年1月、アフリカ輸出入銀行(Afreximbank)は、先の2年間に渡りアフリカの文化・クリエイティブ産業の支援することを目的とした5億ドル(約530億円)規模の融資ファンドを発表。

そのうち、1.9億ドル(約200億円)は、ワックスプリント(ファッション業界ではアフリカン・プリントと呼ばれる、インドネシアに由来するろうけつ染の模倣から工業化された布)の製造販売を手がけるリーディング・カンパニーである、オランダ拠点のヴリスコ(Vlisco)の買収資金として、メイド・イン・アフリカ社(MIA Inc.)への融資が約束された。

MIA社はアフリカファッションの関連会社やブランドへの投資・買収に特化した持株会社で、ガーナ出身の元国連事務総長コフィ・アナンの息子、コジョ・アナン(Kojo Annan)が執行会長を務める。


ナイジェリアを代表するハイエンドブランドの一つ、オレンジ・カルチャー(Orange Culture)のショー。2019年ラゴス・ファッション・ウィークにて筆者撮影

他にも、2019年には、ナイジェリア中央銀行がクリエイティブおよびIT産業のための、220億ナイラ(約6億円)規模のファンドを発表。2018年には、アフリカのクリエイティブ業界のインフラ投資整備のための1億ユーロ(約123億円)のファンド、Impact Fund For African Creatives(IFFAC)が始動した。
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文=MAKI NAKATA

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