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デジタルノマドの台頭


当面の間は海外渡航が難しい状況が続く可能性が高いが、パンデミックの収束後も、物理的な場所を問わない働き方が続くことは広く予想されている。これにより、デジタルノマドの市場はこれまでのデザインやプログラミング、メディアなどの分野で働く若者(多くはフリーランスだ)以外にも拡大し、より広い職業に開かれるようになるかもしれない。

多くの人はパンデミックにより、(旅の部分を除いた)ノマド生活がどんなものかを垣間見た。また、観光に対する考えの変化も起きている。都心での商業活動は既に遠隔勤務への移行によって打撃を受けているが、古くからある観光地の多くでも、短期旅行客による影響についての懸念が高まった。

過剰観光の被害を受けてきた観光地の典型例として、イタリアのベネチアがあるが、そのほかの人気観光地の多くでも、街を取り戻したいと願う地元住民から観光客への反発が起きていた。

例えばスペインのバルセロナでは、過去30年間で観光客の数が約6倍に増加。人気エリアから地元住民を締め出すエアビーアンドビーや、街にごみをまき散らす観光グループ、こうした人々をつけ回す犯罪者や行商人に対し、地元住民は反発するようになった。同市は大都市であるものの、観光が総収入の15%、雇用の9%を占めているため、難しい立場に置かれている。

世界の知識労働者たちは遠隔勤務に慣れ始めると同時に、より緑が多くて快適な環境で仕事をしたいと思うようになっている。伝統的な観光地が遠隔勤務に適した都市として生まれ変わるポテンシャルがあるのは明白だ。

国民を求めて国が競争


デジタルノマドの先駆けとも言われる牧本次生による有名な言葉として、人々は物理的な場所だけでなく国という概念そのものにさえとらわれなくなり、国民国家は最終的に国民の獲得を争うようになる、というものがある。

パンデミック前にはナショナリズムが再び台頭していたため、このような主張は今ではいくらか奇妙に聞こえるかもしれない。だが、パンデミックの結果として世界が過剰観光から観光不足へと移行したことで、世界中でノマド誘致競争が激化する可能性は高い。

従業員をしばらく遠隔勤務させると発表した会社でも、そうした従業員に対して国内にとどまるよう求める可能性はある。だがこれには合理的な理由がないのが明らかであるため、長期的に遠隔勤務をする人がノマドとしての生活を送るようになる可能性は高いだろう。

編集=遠藤宗生

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