テレワーク拠点としての軽井沢が持つ「予期せぬ偶然」のチカラ

矢ケ崎公園から浅間山を望む。右側は大賀ホール (筆者撮影)

軽井沢に別荘を購入してから22年、東京・軽井沢の二拠点生活をしている。つまり、リゾートテレワーク歴22年となった。

この22年の生活を通じて強く感じることは、軽井沢は不思議なほど偶然の出会いが多いまちであるということだ。ここから新しい価値が生まれ、イノベーションが誘発される。これによって、幸運をつかむ人が出てくる。まさにセレンディピティという言葉がふさわしい軽井沢。

実はそれは明治時代のサロン文化から始まり、別荘文化へと引き続がれていった。このコラムでは、軽井沢の歴史を紐解きながら、セレンディピティな軽井沢の魅力を最新の情報とともにお伝えしていく。

軽井沢に学ぶ新しいワーケーションとは?


ワーケーションは「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語だ。軽井沢では昔から会議型ワーケーションが広く行われている。最も多いのは、取締役会、幹部会などの会議と、翌日のゴルフなどアクティビティーを組み合わせたワーケーションプランだ。

さらに、ワークと学び(企業研修、チームビルディング)などエデュケーションを兼ねたプログラムも多い。ユニークなものでは「氷上研修」というものがある。軽井沢町では、2013年に国内の主要大会や国際レベルの大会が開催可能な国内最大級の通年型のカーリングホール(6レーン)が完成して以来、カーリングの試合や練習などで全国から多くのチームが来て利用している。その空き時間を有効活用すべく、当初から外資系企業、IT企業を中心に「氷上研修」の誘致に力を入れていた。

最近は、企業の管理職研修、新人研修などの利用が急増、昨年は約250社で6000人もの社員が「氷上研修」を行った。また、日帰りではなく軽井沢に宿泊して、翌日は近隣の小諸市や上田市、東御市などのワイナリー見学、農業体験、温泉やグルメなどのレクリエーションを含めたワーケーションプログラムを実施する企業が増えている。「氷上研修」は今、新しいワーケーションスタイルとして注目されている。

一般に企業は、個人の観光目的のバケーション代だと経費として認めにくい。「会議型ワーケーション」「研修型ワーケーション」は会議の質を高めると理論的にも提唱されているので、これからますます広まっていくだろう。

ワーケーションの目的


ところで、ワーケーションの本当の目的はなんだろう?

それは「セレンディピティ」ではないだろうか。セレンディピティとは、「予測していなかった偶然によってもたらされた幸運」あるいは「幸運な偶然を手に入れる力」を意味する。科学の世界では、大きな発見が偶然からもたらされることが多いため、ノーベル賞の授賞者のインタビューなどで科学者がよく用いている言葉だ。

軽井沢では不思議なほど偶然の出会いが多い。そこから新しい価値が生まれ、イノベーションが誘発される。まさにセレンディピティだ。
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文、写真=鈴木幹一

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